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「わたしの肌を織る」と「あなたの肌を描く」の解説のような


意図せず、
二つがなんだか繋がっているような、
ゆるく映し合う鏡のような相手のような詩になっているな、
と思い、いっしょに載せてみようかな、と。

「わたしの肌」のほうは、
「嘘」というお題に対して書いた詩でした。
嘘だと分かっていても、
分かった後でも、
あなたのくれた言葉は私に魔法をかけてくれていて、
それは本物なのだと言いたかった詩です。

「本物」を「ほんもの」と書いたのは、
きっちりとした、計ったような嘘つきでも正直者でもないひとだということを伝えられたらなと。

花には成れなかった
黄金の鱗の魚にも
透けた羽を震わせる虫にも
私は成らなかった

あなたは
嘘の正直なひと
真っ直ぐに笑い
平らかに口を開いていた

蓮の葉には乗れなかったし
虹の欠片は落ちてはこなかった
猫の瞳の中には街灯は灯ることはなかった
だけど あなたの言葉はほんものだった

私に触れた魔法は生きている
この耳を撫ぜた風の声を捕えることも
遥かに遠い宇宙の足音さえ
私は受け取れる

あなたは
ほんものの嘘を吐けるひと
愛情を裏返さず
丁寧に肌に織り込んでくれた

あなたは
私だけの
嘘つきだ

「わたしの肌を織る」

もう一つの詩は、
「わたしの肌」を書いてそのまま書いていたのですが、
ちょっと途切れて、
ペンを置いていたのですが、
どうしてももったいなくて続きをかきながら打った詩です。


あなたの肌を描く
その声が
私の頬に どう響いたのか
光の反射だけを使って

うつくしい色をとく
空気に置いた透明
覚めた筆先で熱を通す

あなたの青を
あなたの光へ
あなたの紫を
伏せていく夕陽へ流した

うつろ空に浮かぶ
小さな星は白をほつれさせる
風がその端を弄んだ
煌々とあてもなく溢れていく

あなたの肌は
何物にも染まり
そして
光に飢えることを知らない色で
私を見ていた

「わたしの肌を織る」

最後の「光に飢えることを知らない色」という言葉が、
自分でも気にいっています。

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