本の虫に憧れて。
本の虫。
そう呼ばれたい、と子供の頃は思っていました。
本は大好きだったけれど、
たくさん読めるわけではないし、
まだまだ知らない本ばかり。
私なんてちっとも本の虫じゃない。
——そんなふうに思いながら、
それでも目の前の本を齧り付いて読んでいました。
それは十分、本を愛しているって伝わる姿だったのじゃないかと、今は思います。
そんな私が、昨日TSUTAYAさんで見つけたのが
カラシユニコさんの『本の虫 ミミズクくん』でした。
帯に、クリープハイプボーカルの尾崎世界観さんがコメントを寄せています。
タイトルに“本の虫”と入っていたら、
読みたくなるしかないじゃない!
と、即決で買いました。
あらすじは、
本と共に常に歩んできた生粋の本読みのおじいちゃんは、家族のみんなに“今読むべき本”を選んでは読ませています。
ミミズクくんこと、加藤剣くんは、おじいちゃんの勧めてくれる本を読むのが大好きです。
小学校でも、帰り道でも、そうじのゴミ捨ての時でも、片手に本をかかしません。
そんなミミズク君のことが気になっている須田さん。(なんで気になってるんだろ、と自分自身でも分かりかねているみたいで、ミミズク君をちょっと困らせては気を晴らしています笑)
就活に悩むとなりのお姉さん。
ミミズクくんのクラス一の問題児、と思いきや、古いお父さんと新しいお父さんのどちらも大切にしたいと思っているモーロンこと毛呂龍臣くん。
本を読むことが苦ではない弟に心が少しつねられるお姉ちゃん。
心の声がけっこう熱い!ミミズクくんのクラスの担任の先生。
ミミズクくんのまわりにはたくさんの人がいます。
そんな中で、
『燃えよ剣』
『星の王子さま』
『蝉しぐれ』
『ムーミン谷の彗星』
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』
『三国志』
『父の詫び状』
などを読みながら、共感したり、新しい考え方を見つけたり、または他者の考えと近づいてみたりします。
こんなふうにいろんな本を読ませてくれるおじいちゃんがいたらよかった。
こんな友達と、押し入れで『地獄』ごっこをしてみたかった。
つなぐつもりのなかった人と人の手を、
いつのまにか繋いでしまったり。
そこには本の力も確かに上乗せされているけれど、
その土台となるミミズクくんのこころが
しっかりと今に踏ん張って立っているから
こんなに物語は生き生きとするのだろうと思います。
お話ごとに、作者の方がよせる本へのコメントもとても楽しかったです。
本好きの方、おすすめです!