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「春を待ったあとは」の解説のような

今度の詩学舎のお題が『去った春』または『過ぎた春』ということで、
ふわりと下りてきた詩。

春を待つときの切なさは、
どこか感情に生まれそうにつよい。
それなのに、季節にはそれは添わないと捨て置かれるように思う。


春は瞬く間だ
あっさりと手をはなす
君みたいだ

明日が晴れでも
月夜の晴れでも
どしゃぶり夜空でも
春は同じ速さで散る

あんなに待ち焦がれたことを
歳を重ねるごとに重く恥じ入るのに
はしゃぐ心持ちを
少しも気に留めてはもらえない



去ってやっと熱病は収まるのか
はたまた次の根を下ろして鎮静するのか
過ぎてしまった寂しさを塗り重ね奥へ深めるように
背に溶けた春の先へ立ったが

「春を待ったあとは」

それがつらなって、大きな感情の溜池ができているかもしれませんね、
という詩です。

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