ADHDライフハックの基本思考
これから大人のADHDの方が症状を克服するための基本思考についてお話していきます。
ADHDの原因から、克服するための思考法、医療機関の利用について説明します。
世の中で色々な対策やライフハック、医療の支援がありますが本書を読めばADHDの症状で悩み始めた人も、スムーズに対策できるようなガイドラインとなるでしょう。
少し分量が多くなってしまったので、気になる項目を目次で探してお読みください。
ADHDとは
ADHDとは、Attention-Deficit / Hyperactivity Disorderの略語で、日本名では「注意欠如・多動症」や「注意欠如・多動性障害」などと呼ばれ不注意、多動性、衝動性の3症状を主な特徴とする生まれつきの精神疾患を指します。
3症状で困る症状は具体的に以下の通りです。
多動性・・・せっかちな性格や落ち着きのない人と思われる
→・そわそわ落ち着かない
・貧乏ゆすりのような動作
・じっと座っていたり、待つことが苦手
衝動性・・・感情が激しく見える行動を取ってしまう
→・衝動的な言動をして失言してしまう(例)この仕事はめんどくさいとか
・計画的な行動が苦手
・人の話を遮って話す
・熱しやすく冷めやすい
・目に入ったものを後先考えずに買う
注意欠如・・・ぼーっとして頭が悪そうな印象を与える
→・片付けが苦手
・集中力が続かない
・他のものに気が移る
・遅刻をしたり、期限を守れない
・約束自体も忘れる
・デスクや部屋が散らかりやすい
・頻繁にケアレスミスをする
・気をつけていてもミスをしてしまう
・忘れ物やなくしものが多い
・人の話していることが理解できなかったりする
3症状以外での特徴
・朝起きれない(主に夜更かしが原因)
・興味のないことにやる気が出ない
・やらないといけないことも先延ばしにしてしまう
上記で述べた特性にあなたはどれほど当てはまるでしょうか。
これらの特性を持っていると社会生活で失敗経験が多すぎて「また失敗するのではないか」「他人から軽蔑されるのではないか」と不安感を持つことが多くなります。
不安感から抑うつになったり、強迫性障害や依存症(ゲームやスマホなど)の2次障害になる人も世の中たくさんいます。
ADHDの症状は自分で解決しにくく、長期的に見ればADHD自体の改善は大いに可能ですが周囲からいい加減な人と思われ2次障害を発症してしまいます。
上記の特性で多動性に関しては医学的にも11~12歳で落ち着くとされており問題行動が止まる人もいるのですが、反対に注意欠如優位タイプの特性は子供時代では目立つことはなく、性格的に学業などにやる気のない同級生や子供だからミスをしても許されてしまう環境があるため大人になるまで気づかれないことも多いようです。
症状が重い人は本記事のような内容も読み進めることが困難な場合もあるため、お子さんで本を読むことが苦手な子に対策を自分で考えてほしいと願う親御さんは、漫画や動画による視覚的、直観的な教育がADHDの人には有効とされているので、そちらの媒体を多く使っていきましょう。
ADHDを発症する原因
ADHDの原因は主に脳の前頭葉に原因があります。
前頭葉の前頭前野と呼ばれる部分は、人の理性や思考、情報整理、実行機能を司っています。感情や、感覚、意欲、などにも深い関わりがあります。
ADHDの人は前頭葉の働きが弱い傾向にあり、考えをまとめたり、理性的に考えたり、脳全体で感じ取った情報を整理し、取捨選択することが難しくなります。
前頭葉の働きが弱い理由に神経伝達物質の働きが不十分な原因があります。
前頭葉が上手く機能するには、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の働きが重要です。
神経伝達物質とは、並んでいる神経細胞と神経細胞の隙間で働いて、隣から隣へと情報を伝える物質です。
ドーパミンは意欲や集中力に関係がありますが、ドーパミンが前駆物質となってノルアドレナリンを増やすこともあります。
ドーパミンは、人が集中したり、注意を向けたりするときに、神経細胞の末端(シナプス)から放出されます。役目が終わると、シナプスにあるトランスポーターという物質からもとの神経細胞に取り込まれます。(再取り込み)
ADHD人の脳では、このトランスポーターの働きが過剰なためノルアドレナリンやドーパミンが取り込まれ過ぎてしまい、結果的に不足していると考えられています。神経細胞同士の情報リレーが上手くいかず、前頭葉の働きが弱くなっているのです。具体的には集中できない、意欲が湧かない、落ち着かないなどの症状が出ます。
ADHD克服法について
まず上記で述べた多動症、注意欠如、衝動性の中からADHDの特性で自分が当てはまるものを書き出したりして正しく克服するポイントを把握してみましょう。
問題点が具体的でないと解決策の効果が発揮できないからです。
それでは最初にADHD全般の症状における克服において問題行動をリスト化する習慣をつけることをお勧めします。
ADHDの人は全体を把握することが苦手な人が多いです。
困ったことが起きたらパニックになる人もいますが、冷静に問題を書き出してみたり、リストアップして情報を整理することが大切です。
また注意が散漫なADHD人はリストアップしたもの自体を忘れるので常に目が見えるところにリストを置いて確認できるようにしましょう。そして衝動的な失言や行動する傾向に関しては一呼吸置く癖をつけるようにします。
ADHD克服の考え方
では今からADHDの症状を克服するための7つの思考法について説明していきます。取り組みやすいものから、やって行けば良いです。
①失敗のターニングポイントを意識する
ADHD人は日常で様々なトラブルを起こしますが、トラブルを起こす前には必ずトラブル発生と回避の分かれ目のターニングポイントがあります。
例えば、
遅刻をしてしまった場合に、待ち合わせ時間を決めた際に電車の乗り換え情報や現地の場所を正しく確認しなかった瞬間や出かける前に忘れ物や電話に出て喋ってしまったなどです。
他にも、部屋が散らかる人の場合は、部屋に帰った瞬間にポストにあったDMを捨てずにベッドの上に置いた瞬間や引き出しにある爪切りを出しっぱなしにした等がそれです。
要するに「あの時にああしとけば良かった」というタイミングを見つけるようにしてください。ADHDの人は無意識に行動していると、トラブルしか起こしません。ターニングポイントを意識することで事前に準備をしたり、トラブルを未然に防ぐ行動を取ることができるようになっていきます。
不注意によるミスや物忘れの根本原因としては脳の短期情報処理機能のワーキングメモリの機能が弱いことが原因です。ですが、ターニングポイントを何回も意識し続けることで、ミスの原因を意識することが長期記憶に移行することでミスを未然に防げるようになっていきます。
なぜなら長期記憶に関してはADHD人は一般の方と能力に大差がないからです。ターニングポイントを意識して改善策を考えたり、上手くいったケースを事例として残してみたり、周囲に改善の協力を求めたりして状況を良くしていきましょう。
②ADHD的時間管理術
ADHD人は時間管理が苦手です。例えば、遅刻してしまったり、仕事の作業スピードの見積もりが甘かったり、締め切りギリギリまで行動しないなどです。
これらを改善するには、時間の感覚のトレーニングについて例を元に説明していきます。
トレーニングの例(出社に遅れた場合の改善方法)
1.遅刻する前にあなたのやっていたことを思い出してみましょう。
2.そのやっていたことをリスト化して何分ぐらいかかったか書き出してみましょう。(着替え、鞄にものを入れる、歯ブラシなど)
3.本当にその時間通りにかかっているかストップウォッチで検証します。
4.再び本当に必要な時間をイメージしてリストに書き出してみます。
5.本当にその時間通りにかかっているかストップウォッチで検証します。
6.その他、トイレに行ったり、家族に呼び止められたり、携帯を見失って探すなどの考えられる時間ロスについて考えます。
7.実際に検証した準備時間や時間ロスを加味して出発の準備をする時間と行動することをリスト化します。
8.リスト化した行動を行う時間にタイマーをかけて時間通りに行動するように強制化するよう意識させる。
9.リストは目に見えるときに置き、時間通り行動できなかった場合修正を加えて繰り返す。
シンプルにまとめますと
→過去の行動を思い出す
→行動を制限時間付きでリスト化する
→実際の作業時間を計測する
→足りない時間や余った時間を適切に修正します
→再度時間通りにできるか確認する
→不測の事態も対処できるようリストに余裕が出る時間を加えます
→完成したリストをアラームをかけて実行します
→リストをいつでも確認できる場所へ置き、日々修正する
になります。
上記の行動を行うことで遅刻することを防げるようになっていきます。
次に長期的な課題の場合を考えます。
長期的な課題は細かいいくつかの工程に分けて、それぞれに期限を設けることが有効です。
例えば企画書を通すという作業であれば、〇日までに資料を読む、〇日までに費用を算出する、〇日までに企画書を出すといった具合です。
時間は常に余裕を見るようにしましょう。
こちらもシンプルにすると、長期的な課題は
→予定を記録して、見えやすい場所に置き確認できるようにする
→準備や課題は小分けに分解して進捗管理を行う
→時間は余裕を持たせるようにスケジュールを組む
を意識するといいでしょう。
新卒社員などは、これらが自分でできているか分からないこともあるので遠慮せずに上司に確認していくことをお勧めします。
③ADHD的タスク管理術
次は、段取りが多くて失敗をたくさんしてしまう人やキャパオーバーを起こして自己嫌悪になるADHD人のタスク管理の対策について説明していきます。
ADHD的タスク管理術
1.やるべきことを全てリスト化します。
2.リストに必要な時間と優先時間を付記してみましょう。
※優先順位の基準は、社会的信用に関わることや締め切りなどがあって、今日しかできないことは優先度が高いです。
3.その中で、お店の閉店時間や待ち合わせの時間など時間が限られているものをチェックしていきます。
4.その時間が限られたタスクを日常生活のスケジュールに落とし込みます
5.タスク処理できる時間が短く限定されていることを認識します。
6.リストを常に見えるところに置き作業が終われば印をつけるようにしましょう。
7.リストにないやりたいことを思いついたら、リストの側にメモ帳を残し安心できるようにしたり、優先順位を見直しましょう。
8.リストに関係ないものはできるだけ目に入らないようにします。
(例えば、本を途中で読まないように本棚にカーテンを引いたり、断捨離する。
仕事で朝9時から10時はメール確認以外の作業は絶対にやらないと決めるなど。)
上記がタスク管理の解決思考です。ここでもリスト化が重要です。
メモ帳などに書き出して視覚化することがワーキングメモリが弱い傾向のADHD人には大切なプロセスになります。
タスクを抱え過ぎてモチベーションが下がることへの対応
ここでタスクをたくさん抱えた際にADHD人が陥りがちな、モチベーションの低下について説明します。
どうしてもやる気が起きない場合は、タスクを抱えすぎていることが原因かもしれません。たくさんタスクを抱えていると、注意が移りがちなADHD人は色んなタスクに脳のリソースが取られパンクして思考力が低下します。
小さなタスクから一つずつ対処していきましょう。
小さな達成感を味い自己肯定感を高め、
簡単な作業から始めることで心理学の作業興奮を働かせてモチベーションを復活させるようにしましょう。難しいタスクは思いつく限り分解して、少しでも手をつけるようにしてみます。
こなせなかった場合は、明日のタスクに加えて対応しましょう。
④ADHD的片付け術
ADHD人は衝動買いで不要なものを家にため込む性質があります。
優先順位を立てることが苦手で捨てる物かどうかの判断ができないからです。
ADHD人はミニマリストになろう
ADHD人で散らかる部屋を卒業した人は「断捨離」を実行している人が多いです。さらに言うとミニマリストになる人は片付けが上手く行く傾向にあります。
上手くいく理由は、部屋に物がないと散らかりようがないからです。
不注意傾向で色々なものに注意が移ってしまうADHD人ですが、部屋に物がないと不注意になるきっかけも少ないです。
そのため「断捨離」+「ミニマリスト」はADHD人の目指すべきライフスタイルとして参考にすべきでしょう。
しかし、いきなり断捨離やミニマリストと言われてもすぐには実行できない人は以下のやり方が参考になるでしょう。
ADHD的片付け術
1.不要なものを捨てる。
(初めてのときは他人に捨てるべきか決めてもらいましょう。優先順位が
間違っている可能性があるため)
2.ゴミ箱を分別して設置し、不要なものは部屋に置かずゴミを毎日捨て
る習慣をつけます。
3.持ち物の量にルールを決めます。
(例.本は何冊、服は何着、くつは何足、鞄は?)
4.物の定位置を決めましょう。物を使ったら必ずその場所に戻すようにし
ます。
5.借りているものは全て返す。借りたものは最短で返すよう意識する。
6.押入れや机の中の忘れていたものを全部捨てる。覚えていないものは基本
不要のものです。
7.綺麗な部屋を写真に撮り、その写真を常に見つけやすい場所に保管して、
散らかってきたら写真を見て部屋を綺麗にしていきます。
⑤ADHD的貯金術
全然お金が溜まらない、いつの間にお金がなくなるADHD人の悩みです。
金銭の管理ができていないと人の信用を失ったり、生活に支障が出るケースが本当によく聞く事例です。
お金の管理を行う思考法について説明していきます。
まず前提としてお金の収支はきちんと把握できているでしょうか?
・月々の収入
・月々の支出
・何にいくら使っているのか
・いつまでにいくら支払えばいいのか
できていない場合はお金の管理が不十分で浪費でお金に余裕がない可能性があります。
タスク管理と一緒にリスト化することが解決策としてお勧めです。
リストに書く内容
1.定期的な収入と支出をリストに記入します。
2.振り込み日や引き落とし日付も記入します。
3.短期的貯金額(1~6か月)と長期的貯金額(半年~5年後)まで決めます。
(目標を設定しご褒美まで決めることで、やる気と達成感を得れる仕組みを作ります。)
4.リスト化が困難な人は周囲の人にお願いするか一緒に作成して目標を共有して協力してもらいましょう。
浪費を防ぐ方法
・浪費癖が治るまで家族や友人に買い物する際に自分に本当に必要なものか確認をしてから購入しましょう。
・その場で必要でない場合は1日おいて考える癖をつけます。
・買い物に予算を設定して、それ以上の買い物をできないようにします。
⑥ADHD的コミュニケーション術
ADHD人は本人にその気がなくても相手を怒らせてしまうことが多いです。
これらの原因は、思ったことをそのまま口に出してしまう衝動的な言動や
相手の表情や遠回しな言い方を酌むことが苦手で苦労していたりというケースが多いです。
ここでもリストを活用していきます。ここではコミュニケーションで相手を傷つけたり、怒らせたりしてトラブルとなる部分を書き出してみましょう。
ADHD的コミュニケーション術リスト
(ex.)
・話を聞かない
・喋りすぎる
・失礼な態度を取る
・名前を間違える
・きついことを言う
・カッとなって怒鳴る などなど
一つ一つの問題を書き出していきましょう。また自分の言動の問題か、他人由来の問題なのか、自分だけで変えられる問題か自分で変えられない問題か区別をすると改善しやすいです。
他人由来の問題は自分で解決できないので後回しでもいいです。
失言してしまうことへの対策
コミュニケーションは複雑で全てのケースに当てはまらないものですが、
コツとしては
衝動性だとスピードダウンをする訓練を積み重ねていきましょう。
例えば、失言することが多い人は、発言を一呼吸置いてからするようにしましょう。また「1点確認なのですが」「伝えたいことがあるのですが」と前置きを言うことで言いたいことを言うまでに一言置きます。
失言で失敗することが多い人は、発言する前にメモに言いたいことを書き出し客観的に見るというやり方もあります。職場など慎重な発言が求められる環境ではそこまでしてみてもいいでしょう。
また対人関係を事前にシミュレーションやコーチングしてくれる人とトレーニングを積むことも有効です。
コミュニケーションを苦手と意識しているならば、周りに頼れる人がいる場合は協力してもらうのが一番です。正直に話して協力してもらいましょう。ADHDの人は一人で抱え込むタイプの人がいますので、意識して周りを頼る方が生きやすいです。
もし周囲に協力してくれる人がいなかったり、やっぱり恥ずかしいと思う場合は公式ラインでメッセージ相談は無料で受付しているので登録してみてください。
他に失言が多い人に有効な手段としては、無難な会話を心がけるといった方法も有効です。
例えば、相手への評価や容姿に関わることは相手を傷つけたり、気分を害したりすることが多いため避けた方が無難です。
(評価の例)「つまらない」「仕事ができない」「面白くない」
(容姿の例)「太った」「服が似合っていない」「派手だ」など
また話す言い方や態度に関しても気をつける必要があります。
(例)相手が怒っているのに笑っている
会話中に顔の表情が無表情になっている
飽きてつまらないようにしている
貧乏ゆすりでイライラしているように思われる
など誤解を生む行動を書き出し止めるように意識していきましょう。
直接コミュニケーションとは関係ないですが、ADHD人の人は気前が良い性格の人が多いので、お誘い事や頼まれごとを即答でやりますといいがちです。予定を入れる前にスケジュールを確認してから連絡するようにするや自分ではなく他の人にお願いできないか考える習慣も取り入れていくと生きやすくなるでしょう。
また断る時に衝動的な発言で相手を傷つけないために断り文句を考えておくことも極めて有効です。
⑦ADHDによる依存症からの脱却
ADHD人は依存症になりやすいと言われており
たばこ、TV、インターネット、Youtube、浪費、恋愛、薬物、ギャンブル、アルコールの依存に苦しむ人が多いです。
ADHD人は興味のある事に熱中してしまう特性にハマってしまうこともあるのですが、何よりストレスを抱えることが一般の人より多いため依存先にハマることによってストレスを解消している面があります。
依存になる特徴としては簡単に快楽を感じることができて、その代わりに止めると虚無感や辛い現実を感じることになるものが多いです。
そのため一度手を出せば、依存し続け止めることが難しいケースが多いです。
不健康、借金、生活の乱れなどが生じた依存が深刻な場合は診療内科などで治療が必要ですし、家族、友人に頼るようにしていきましょう。
依存症を防ぐには趣味を増やして依存する時間そのものを減らす、携帯の電源を切るなど依存先から物理的に距離を置くなども有効です。
ADHDの医療的アプローチについて
ADHD受診、診断、治療の流れを説明します。
基本的に以下の流れであることを抑えておくといいでしょう。
①受信(精神科、心療内科、神経内科、小児科など)
②検査診断
・症状や生活への影響を聞き取り
・併存障害と2次障害の診断
方法→問診、X検査、血液検査、知能検査 など
③治療
・薬物療法
・生活環境を整える
・理解者、協力者のサポート
知能検査について
知能検査で使われるウィクスラー式知能検査には3種類の検査があります。
それぞれ概要だけ説明しておきます。
①WAIS
WAIS-IV知能検査は、ウェクスラー成人知能検査WAISの最新日本版です。
16歳0カ月〜90歳11カ月の青年および成人の知能を測定するための個別式の包括的な臨床検査であり、特定の認知領域の知的機能を表す4つの合成得点(VCI、PRI、WMI、PSI)と全般的な知能を表す合成得点(FSIQ)を算出します。
②WISC-IV
WISC-IV知能検査は、5歳0カ月〜16歳11カ月の児童の知能を測定する個別式の包括的な臨床検査です。
特定の認知領域の知的機能を表す4つの合成得点(VCI、PRI、WMI、PSI)と全般的な知能を表す合成得点(FSIQ)を算出します。
③WPPSI
WPPSI-III知能検査は、ウェクスラー幼児用知能検査WPPSIの最新日本版です。
2歳6カ月〜7歳3カ月の幼児の知的能力を測定する個別式の包括的な臨床検査であり、2つの年齢幅に分けられています。2歳6カ月〜3歳11カ月では4つの合成得点(FSIQ、VCI、PRI、GLC)を、4歳0カ月〜7歳3カ月では5つの合成得点(FSIQ、VCI、PRI、PSI、GLC)を算出します。
知能検査を受けることのメリット
・アスペルガーや学習障害との区別を正しく判別できるようになる。
・ADHDの特性の凹凸をより客観的に分析でき対策を立てることができる。
・本人や家族が診断結果を受け入れやすくなる。
・併発する病気もないか確認しておくが重要
ADHDを診断する際に必要なのは、ASDやLD(学習障害)、発達性協調運動障害、聴覚情報処理障害(APD)の併発や、2次障害(鬱、抑うつ不安神経症、アルコールなどの依存症)の症状が出ていないか慎重に見極める必要があります。
これらはADHDと違う対策や治療が必要なため医師と相談して治療していくことが大切です。
ADHD治療に主に使われる薬
主に病院では薬物療法が中心となります。
ADHDは脳の機能性の症状のため、治療で完治するものではありません。
ですが、ASDと違い薬によって症状の7~8割は軽減するとされています。
ここでは、薬の効果について長く説明しないので関心がある人は治療によく使われる3つの薬の名前を調べてみてください。
・コンサータ(メチルフェニデート)
→ドーパミン及びノルアドレナリン再取り込み阻害作用によって前頭前皮質や線条体を刺激し、脳機能の一部の向上や覚醒効果を主な作用とします。
・ストラテラ(アトモキセチン)
→アトモキセチン塩酸塩という成分が入っており、、脳内にノルアドレナリンを増やし神経伝達物質の働きを強めたり、シグナル伝達を改善する作用があります。
・インチュニブ(グアンファシン)
→インチュニブの役割は、後シナプスの情報の取りこぼしを減らすことです。後シナプス中のアドレナリン受容体という物質を活性化させることで、シナプス内のHCNチャネルという穴を塞ぎ、ドーパミン・ノルアドレナリンを受け取りやすくし入ってきた情報を漏れにくくさせます。
薬物以外の治療法について
ADHDの治療は薬物療法が主流ですが、生活の困難さが軽度の人や、周りのサポートを受けやすい人、「改善したい」という意欲の高い人には認知行動療法なども有効です。また薬物療法とこうした治療法を組み合わせることで、さらにQQLを高めていくことができます。
・行動療法
行動を変えていくことで良い習慣をみにつけ、また達成感や自己肯定感を得ていくトレーニングです。トラブルを少なくするには、忘れっぽい人はメモを取る、遅刻しやすい人は時間をこまめに確認するなど、行動を変える必要があります。失敗しにくい行動を身に着けるよう強制していきます。
有名なものは、あらかじめ定めておいた、望ましい行動(目標)が取れたら報酬を与えるトークンというエコノミー法です。例えば、朝6時に必ず起きることを目標とし10連続達成できたら好物を食べることができ、できなかったらお菓子なしの罰を科すなどです。
・環境変容法
ADHDの人がより生活しやすいような環境を整備する方法を考えます。ADHDの人は環境を整えることで生活の困難さが軽減する場合があります。
例えば、仕事や勉強中に注意が逸れないようにするため、目に入って気が散ってしまうような棚をカーテンで目隠しするや、机の上に何も置かないようにして仕事をするなどです。それぞれの症状や、生活に合わせて環境を整備していきます。
・認知行動療法
ADHDの人は、失敗を重ねた経験から自己肯定感が低いことがあります。
自己肯定感が低いとストレスに対処する能力も低く、抑うつなどの状況に陥りやすくなります。また、前向きに状況を改善する発送に至らずに、より事態を悪くしてしまうことがあります。認知行動療法ではそうした認知を改善し、より建設的な考え、行動ができるようにする治療法です。
認知行動療法は1回6000~8000円ぐらいが相場ですが、最近はアプリでAIが認知行動療法を行ってくれる場合もあります。
Awarefyというアプリで年間6900円とカウンセリング1回分で使用できるためお金に余裕のない人は是非活用してみましょう。
デジタル認知行動療法アプリAwarefy(アウェアファイ)
・ソーシャルスキルトレーニング(SST)
主に対人関係で、問題を抱えている人に、人との接し方をトレーニングしていく治療法です。ADHDの人で多いのは、衝動的な言動で相手と衝突したり、気分を害してしまうことですので、日常生活でよく起こりそうな場面を想定して、受け答えをシミュレーションするロールプレイングなどが良く行われます。
以上が薬以外での治療になります。
まとめ
それでは長くなってしまいましたが、そろそろ終わりたいと思います。
ADHDの人は日々日常で困ることが多いですが、ここまで述べた対策を取っていくことで状況が改善していきます。
先ほど述べたようにADHDの人は失敗が多すぎて自己肯定感が低い人が一定数います。そのような人はセルフネグレクトと言って自分で自分の環境を悪くするような行動を取ってしまいます。そんな状態ではいつまで経っても症状は改善しません。遠慮せずに家族や医療機関に相談してみましょう。
各都道府県には発達支援センターというものがあり、相談を受け付けているので、そちらで相談してみるのも良いかもしれません。
発達障害者支援センターとは | 国立障害者リハビリテーションセンター (rehab.go.jp)
本書を執筆するにあたって下記の本を参考にさせて頂きました。
より深く学ばれたい方は購入してみてもいいかもしれません。
皆様の生活がより良くなるよう祈ります。
お読み頂きありがとうございました!
↓無料相談、カウンセリングはこちらで受付中!