コラムの裏側 「この一枚」があればいい
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コラムの裏側。今日からいよいよ決勝トーナメント!歴史に残る名勝負からAnother Story.
W杯で撮影ができるのも、この試合を含めて最大6試合。日本vsアルゼンチン戦から引きずった感傷的な気持ちを吹っ飛ばしてくれたのは、やっぱりラグビーだった。
スタッド・フランスへと向かうメトロにはファンたちの歌声が響いていた。もみくちゃになりながらスタジアムへと向かう。皆、試合に胸を躍らせている。
残り試合なんて数えても、仕方がない。増えてほしくても、絶対に増えないのだから。スタジアムへ入るとボルテージが、ぐんと上がった。
午後8時51分23秒、両チームがピッチへと入場した。両国家のアンセム「Ireland's Call」そして「God Defend New Zealand」がスタジアムに響き渡った。
ニュージーランド代表のウォークライ『ハカ』が終わり、両チームがキックオフの陣形を整える。試合開始直前、一瞬の静寂がスタッド・フランスを包み込む。
その瞬間、何を撮るか。漠然と構えるのではなく、何かしらの意思を持ってカメラを構えたいと思った。目に飛び込んできたのはアーロン・スミスの背中だった。
ゆっくりと両手を天にかざすその姿に見惚れた。その姿に、目の前の試合を楽しもう。すべてを神に託す気持ちになれた。
正直、この日の撮影は試合展開として自分が選んだポジションからは思うように撮ることができなかった。それは仕方がないこと。その分、とてもおおらかに試合を見ることができた。
撮れる時は、撮れる。撮れないときは、撮れない。
今日撮った写真の中で自分自身が「コレだ!」と思うものが一枚でもあれば幸せじゃないか。
この日のベストショットは、言わずもがなこの一枚。幸せを噛みしめながらパリのアパートでコラムを書いた。
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