コラムの裏側 Another Story 目の前のその一瞬をもっと楽しみたい
https://the-ans.jp/photo/357187/
コラムの裏側。今日はニースで撮影したイタリア対ウルグアイ戦からAnother Story.
この試合からレンズを変えた。メインレンズは変わらずFE 400mm F2.8 GM OSS。もう片方のカメラにはこれまでFE 70-200mm F2.8 GM OSS IIを使っていたが、この試合FE 135mm F1.8 GMを選んだ。
どの試合に対しても気持ちは変わらないが、どうしても日本代表戦や優勝候補の試合は応用の幅がきくズームレンズ70-200mmを選びがちになる。近いところから、遠いところまで撮影できる優れもののレンズである一方で、使う側の度量も試されるレンズだと思う。
というのも、向かってくる選手に合わせて200mm、150mm、100mmと引いていけば選手は撮影できるが、画角の中の選手の大きさは変わらない。
よく言えば「撮れる」、悪く言えば「撮れている」とも言える。ニュアンス的に伝えられているかわからないが、撮れることは大事だが撮れているだけではあまり意味がないということ。
迫ってくる選手を同じサイズで撮り続ければ素材として写真を落とすことはないかもしれない。ただ見返した時にメリハリがない感じがする。ズームレンズは撮りて(フォトグラファー)の『こういう写真を撮りたい』という意志が強くないと、どうしても漫然となりがち(私がそう)だ。
135mmという前にも後ろにも引けない単焦点レンズは、気持ちの割り切りが大切。「このレンズと心中するんだ」という強い意志が欠かせない。135mmの世界でどう戦うか。選手との駆け引きを楽しみながらカメラを構えた。
太ももから下が画角からはみ出てもいい。その瞬間を135mmの世界で表現できていれば一つの正解だと私は思う。開幕戦から4戦目にして、少しだけ心の余裕が生まれきた。
もっと目の前のラグビーW杯を楽しまなきゃ勿体無い。思うがままに撮ろう、この試合はそう思えるきっかけだった。
コラムで使ったメイン写真は400mm、3枚目の写真は135mm。何が正解かはわからない、正直正解はないとも思っている。自分の選択にどう◯をつけてあげるかが大事。
撮れる時は、撮れる。撮れないときは、撮れない。撮れたもので勝負する。スポーツにリテイクはありえないから。
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