【小咄】ワルチングマチルダ【行けもしない旅行の計画】
付いてるトモシビと言えば
汚い土まみれの野晒しには
あまりに勿体無いくらいの星だった
何せ俺の故郷に比べ
あまりにでかすぎる大地だったんだ
金が無いってのに
俺だけじゃなくてさ
短期留学するとは想定外
金持ちの道楽とか思ってたんだ
まーもちろん親父に散々の
文句と愚痴は浴びせられたけれどなあ
コアラを持ち上げるのも
キャラでは無い俺だった
ビラボンの淀みを目で追えば
君と目が合ってしまった
虚無感と卑しさに強さと儚さが
溜まってそこだけ流れてゆかず
死水域文字通り死んだ水
はるか昔から念想が混ぜられてる
荷物、大きな布に欲情し
自律という死を待っている
目の中に突っ込んだ虫を考えぬよう
考えたく無いのは俺も同じだけど
でも……酷かったな
髪の切れがここまで流れてきたから
慌てて逃げた俺は
空を見上げると
人生を旅に喩えるならば
俺はこんなとこにまで来たのに
何処にも行けてないような気がする
何故だろう、君に分かるかい?
君は何処にだって行けるのかい?
それとも一文無しの「自由」の奴隷かい?
君の方が知ってるだろ……?
死ぬ方がマシだと言うなれば
死ぬと言う名前の不自由が
あの場所に付きまとって
静かに唄えば俗人(ぞくびと)を驚かす
怖いねえ、
ここにはもういないよ
怖くなっちまうだろ
俺は日の本の国に帰ってからも
日の目を見たり見なかったり
何処にも行けないまま
人生を旅に喩えてる
この町は星が全く見えないって
訳じゃないだろーけど
君の真上とじゃ
比べ物にならない
画像:Wikipediaから(public domain)