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水冷工場への道 その5

水冷冷房の心配事

当初よりなんたって床とかの結露を一番心配していた。水冷工場への道 その3では床を冷やしすぎるとべちゃべちゃに結露してしまうのが心配と書きました。今回はその辺についてもう少し掘り下げたいと思います。なにか問題があってそれを解決したい場合には、まず問題の発生する要因、要素、原因、理屈を徹底的に知ることこそが問題解決の糸口になります(とボクは信じている)。

まず夏が暑い理由

その前に、夏はなぜ暑いのか? その理由は、地球の地軸の傾きが原因ですが季節によりその地域に降り注ぐ太陽光の角度が大きくなり(最大90度)、その結果 地面や建物が温められる割合が増え、気温が上昇します(他にも要因はある)。建物の温度も上昇するし気温も上がる。

夏は屋根や外壁が太陽光でとても熱くなり、それが部屋の中に熱伝搬、熱輻射として伝わってくるため部屋が暑くなるのです。さらに換気、ドアの隙間からとかも暖かい空気が入ってくるため暑くなります。他の人もエアコンを多用しており、室外機からの熱風がそこらじゅうに。この辺は皆さんもご存じのところです。

エアコン冷房と水冷冷房には根本的に大きな違いがある

エアコン冷房の仕組みについて

エアコンは、室内機からから冷たい空気が出てくるため部屋内が涼しくなります。またその原理上、エアコンは同時に除湿も行うような形になっています。エアコンの前に立っていると涼しく感じますが、部屋全体を涼しくするにはある程度の時間が必要です(エアコンの能力と部屋の大きさにもよるが数時間程度)。温かい部屋に冷たいエアコンの空気を導入すると、少しずつ天井や壁・床も冷えてきます。しかし、何時間たっても天井や壁・床は、部屋の中の空気より少し暖かいはずです。なぜなら天井や壁は熱伝搬で外壁の暑さの影響を受けているからです。除湿がされている上に部屋の中の空気温度より天井・壁・床の温度のほうが温かいので絶対に結露も起こりません(空気だまりとか条件次第では起きる)

水冷の仕組みについて

水冷冷房はエアコンの仕組みとは根本的に違います。それは、空気自体は冷やしていなという点です。冷やした空気を部屋の中に放つわけではなく、床や壁(今回は水冷フィン)を冷やし、そこに部屋の空気を扇風機で当てて空気を拡散して部屋の温度を冷やしていく仕組みです。なので水冷によって水冷フィン、床の温度が一定以上低くなると、その境目で結露しようとします。この、水冷冷房で結露が起ころうとするのは物理的に当然の現象です。

空気中には水分が含まれていますが、温度が上がると湿度(相対湿度)が下がります。温度が上がると空気中により多くの水分を含むことができるからです。逆に空気中の水分量が同じでも温度が下がると空気中に水分を含むことが出来る量が減るので湿度は上がり、最悪結露がおきてしまいます。これが、温度が下がると結露する、しやすい理由です。

例として、早朝に道を歩いていると葉っぱの上に水滴がのっている状況を見ることができます。空気中の水分量は同じなのに気温が下がって、空気中の水分が保持できなくなり地面、葉っぱに落ちてくる。それが、結露となって葉っぱの上に現れているのです。あるいは夏に水道の蛇口にホースをつないで水を一定時間流すとホース表面が結露します。これも同じ話です(ホース表面付近の温度が下がるので結露する)。

これと同じ現象が、水冷冷房を取り入れた建物の中でも起きようとします。建物は24時間換気している(外の空気を室内に導入)ので壁とか床が一定温度以下になると結露しようとするのです。そうなると当然室内の湿度も上がってきます。

工場に取り入れた水冷冷房システムの中で一番心配した点は、床の結露と工場内の湿度の上昇でした。厚生労働省、環境省の指針では夏であれば 過ごしやすく快適な湿度は40~70%が目安となっているとの事でこれを超えない事を目指します(注:これは私が勝手に決めた数字ではありません)
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リンクからの引用: 温度・湿度を快適に保つことは、健康的な生活に直結する。労働安全衛生法に基づく衛生基準でも示されている通り、過ごしやすく快適な湿度は40~70%が目安となっています。


まとめると


エアコン冷房は部屋の温度をさげ、しかも調湿も行う。デメリットはエネルギーコスト(電気代)がかかる事。水冷冷房は部屋の温度をさげるが調湿(除湿)は行ってくれない。メリットは電気代がエアコンと比べほぼかからない事。デメリットは冷やしすぎると結露する事。

続く
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予告:水冷工場の結論概要

(最終回は10話目くらいです。数字は最終回に発表しますが少し変わる可能性はあります)
1.設備投資額 約1,000万円
2.水冷冷房にかかる電気代 約3,000円/月
3.水冷冷房による地下水くみ上げ量 ごく少ない(0.4立法メートル程度/日)
結果: 真夏(7月)でも250坪の工場全てのエリアで室温が25-28度に保たれるようになった。


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