厚生労働省の難病オンライン研修の感想
まえがき
・呼吸器内科領域の指定難病といえば特発性間質性肺炎だが、2024年から原発性線毛機能不全症候群(PCD)が指定難病に指定されたので難病指定医をゲットしようと思い立ち、厚生労働省の難病オンライン研修を受けてみた(https://nanbyo-shiteii.mhlw.go.jp/)。実際申請するときに、専門医資格があればどうやらオンライン研修の受講表明は必須ではないことがわかったのでがっかりしたが、総論と特発性間質性肺炎についてはためになったと思う。
指定難病総論
・指定難病について勉強する機会なんでないから、指定難病の診療に従事する先生は一度この講習会を受けてみるのはよいと思う。
・以下のような項目は確認できてよかった。
【医療費助成の支給対象は健康保険が適応される医療のみを対象としており、治験などの保険適応外の内容については対象としていない】
【対象疾病は年々増えており、令和元年7月時点で333疾病である】
【新規申請は難病指定医が作成した臨床調査個人票でしか対応できない】
【指定医療機関以外で受けた医療は指定特定医療に当たらず、医療費助成の対象外となる】
特発性間質性肺炎
・専門領域だけにばっちり把握しておきたいところ。
・ばち指についてはどこかでカルテ記載を残しておいたほうがよいだろう。
・精密肺機能は絶対必要、後回しにしない。
・IPFと異なり診断に外科的肺生検が必要なことが肝であり、TBLBでは代用できない。なので、理論上耐術能の低下した症例では指定難病としての診断が困難になってしまう。IPFについては【高齢者が多いためHRCTで明らかな蜂巣肺が確認できる場合、病理組織学的検索なしに診断してよい】との旨が明記されているが、それはほかのILDでも同じ(基本的には高齢者)では?と思った。
おわりに
・医療費、患者負担制度、保険診療など実際の医療現場のお金の動きについてはなかなか勉強する機会がないけど、ある程度勉強しないと臨床現場を円滑に運営できないばかりか患者さんにとっても不利益が及びかねないので、初期研修中などに体系的に学べる機会があってもよいのではないでしょうか?