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100万人に一人の存在になる
藤原和博さんの「100万人に一人理論」をご存じですか。
簡単に言うと、「100万人に一人しかいない希少性の高い存在になれれば、それはオリンピックのメダリストと同じくらいの価値。そうすれば絶対に食うに困ることはなくなる」という理論です。
100万人というと、現在秋田県の人口が95万人くらいです。(令和2年10月1日現在の秋田県の総人口は 952,005人)
秋田県で唯一の存在になれれば、およそ100万人に一人になれるわけです。
2020年4月、わたしは半球のまりを作ることに成功しました。
半球にすることによって、裏に金具を貼れるようになり、ピンやブローチ、帯留めなどに加工できるようになります。
インスタでは見たことがありましたが、秋田県内では半球にできる人は聞いたことがありませんでした。
だから半球ができたとき、
「やったあ! わたしは100万人に一人の存在になれたぞ!!」
と調子に乗ってしまいました。
他の人にも「半球のまりができるのは秋田で(多分)わたしだけ!」と吹聴して回ったところ、8月にこんな記事が出ました。
ブローチに出来る人いるの!?
正直この写真だと、まりが半球か球体なのか分からないのですが、秋田県内でブローチに加工している人を初めて見ました。
2020年5月にゆりぷらざでごてんまりのブローチの販売を開始したところ、「初めて見た」「これはいいアイディア」と買って下さる方がいて、結構売れ行きが良かったのです。
だからこの記事が出たときは衝撃でした。
わたしが吹聴して回ったせいで、この記事のブローチをわたしのまりだと誤解した人が続出してしまいました。訂正してお詫びし、わたしのまりではないと伝えてまわりました。
当たり前ですが、「100万人に一人」しかできないことができるからといって、それで即食べていけるわけではありません。
テディベアにまりを持たせたり、まりに筆の力を込めようしたりするのは、100万人に一人どころか、おそらく世界中探してもわたしだけだと思います。
しかし、だからといってわたしがそれで食えているわけではないからです。
藤原さんの文章をよく読めば分かるのですが、「100万人に一人理論」は、特定の分野で専門性を高めてまずは「100人に一人」を目指し、違う分野で仕事をしてまた「100人に一人」を目指し、複数の専門性を掛け合わせることによって、最終的に「100万人に一人」の希少価値を目指す、というものです。
「100万人に一人」しかしていないような奇想天外なことをして、食っていけるようになろう! というものではありません。
それではただの変人です。
分かってはいたのですが、人間舞い上がると恐ろしいものですね。
この事件があってから、自分には「こんなことができるのはわたしだけ」と思うと、異常に燃えてしまい、冷静さを見失ってしまう性質があることに気づきました。
冷静さを失ってはいけませんが、それでも食える存在になるために、自らの希少性を高める努力は必要です。
2019年12月当時、由利本荘市内でごてんまりアクセサリーを常設で展示・販売しているのはわたしだけでした。
今では市内にあるごてんまり老舗のお店も、ごてんまりのイヤリングとピアスの販売を行っています。(わたしのまりではありません)
2020年5月にごてんまりブローチを販売開始したときも、2020年8月秋田魁新報に上記の記事が載りました。
わたしのできることなんて誰にでもできることばかりです。手持ちの希少性なんてすぐに脅かされます。やっぱり「100万人に一人」になるなんて、それこそオリンピックのメダリスト級に難しいんだと思います。
でも最近、少しずつ仕事の依頼が増えてきました。
そのおかげで、自分にはなかなか侵略されにくい希少性があるんじゃないかと思えるようになってきました。
具体的に言うと、下記の4つです。
・若年層でごてんまりを作れる
・2時間以内で完結するワークショップができる
・標準語で指導が出来る
・(少しだけど)占いができる
ごてんまりの技術者は県内各地に結構いらっしゃるのですが、皆さん高齢の方ばかりです。わたしより若い人が台頭してこない限り、「若い」という点でわたしの希少性は揺らぎません。
単純なごてんまりの技術力でいえば、今まで積み上げてきた製作時間が圧倒的にものを言うため、わたしが年長の方を上回ることはかなり難しいです。
しかし、ちょっとだけごてんまりを習ってみたいという初心者の方や、他県からいらっしゃった方にごてんまり体験教室をする場合、わたしの方が有利になります。高齢の方が、それまでほぼ1日がかりで教えてきた体験教室のやり方を変えたり、急になまりのない標準語で教えたりするのは非常に難しいからです。
誤解のないように言っておきたいのですが、わたしはこの土地で他の技術者を駆逐したいわけでも、ナンバーワンになりたいわけでもありません。
ただ食えるようになりたいだけです。
ごてんまりの製作・販売だけでなく、ワークショップをやり始めたり、占いをやっていることを外に言い始めたりしたら、急に声をかけていただく機会が増えました。
やっぱり個性を出すというか、持っている希少性を外にアピールするのが大事なんだろうなと思います。
「標準語がしゃべれる」ことが希少価値になるなんて思いもしませんでしたが、ごてんまりの世界ではめちゃめちゃ希少価値が高いです。自分ではふつうと思っていることでも、見方を変えたら希少価値を高める素材になるものがあるかもしれません。
ありがたいことに、今わたしをyoutube動画に使いたいと言ってくださる方がいて、(まり製作と占いで一組ずつ)さらに撮影は終わっていて編集中の動画も一つある状況です。
一歩ずつ、一歩ずつ。
100万人に一人の存在を目指して頑張ります!