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手まりのイラストが成功する条件とは

こんにちは。秋田県由利本荘市でごてんまりを作っています〈ゆりてまり〉です。

先月行ったイベントでイラストレーターの方とコラボさせていただいたのですが、手まりをイラストにするのは意外と難しいんだな、と思いました。
イベントの準備段階で、「手まりを持った女性を描きたいので、手まりの写真をいくつか欲しい」と言われていました。
そのイラストレーターの方は、ふだんデジタルで描いています。
わたしが提供した手まりの写真を試しにAI化してみたところ、こんな感じになったそうです。



何というか、手まりっぽさがないですね。
〈桜〉は妙に金属的な光沢が出ているし、〈菊〉は模様が浮き上がって、立体的な花の装飾が上に乗っかっているように見えます。
ちなみに元画像はこちら。

AI化すると、なぜか全体的にツヤツヤ、ペカッとした光沢が出現します。
これが糸で出来たまりだということを忘れてしまいそうです。
唯一糸っぽさが残っているのが〈鶴〉ですかね。
イラストレーターさんも、イベントのイラストには結局〈鶴〉を使っていました。


「イラストに描かれた手まり」と言えば、大人気アニメ『鬼滅の刃』に出てきた手まり(朱紗丸の手まり)も奇妙でした。
柄としては〈菊〉に見えるのですが、通常のやり方で〈菊〉を作った場合、波型の模様が層状に現れることはありません。

これがいわゆる通常のやり方で作った〈菊〉のまりです。
まりは糸の複雑な重なりによって出来ているので
、模様は本来このように現れるはずです。
アニメでは複雑な糸の重なりを表現することが難しく、かなり簡略化してデザインしたのだろうと思われます。

わたしは以前、友人から請われて『鬼滅の刃』に出てくるまりを再現してみようとしたことがあります。

手まりの一般的なルールを無視して、とにかくアニメのまりに近づけようと頑張りました。
しかしあまりにも難しいので泣きそうになりました。
やはりアニメと現実は違います。


手まりのイラストは「糸の質感」と「複雑な糸の重なり」を表現しないと、成功とはならないようです。
最後に成功したパターンの作品をご紹介します。こちらは、本荘こけし作家の祥子さんの作品です。

とくに3枚目と4枚目の画像に注目して欲しいのですが、複雑な糸の重なりが筆で見事に表現されています。
こんなふうに描いていただけると、ごてんまり作家としてもにっこり納得です。

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