秋田県男鹿市でクレソンを栽培し続けて10年。クレソンの美味しい食べ方を発信中!
移住という言葉も知らなければ、地域おこし協力隊という言葉も知らなかった、男鹿暮らし初心者の私です。
地域おこし協力隊に着任して、移住・定住に関する事を調べたり、関係人口、耕作放棄地、地域おこし協力隊って?と思ったり、1つの市に密着して生活する中でいろいろと知った事があります。
男鹿市の地域おこし協力隊になり、ミッションの1つである情報発信を始めるにあたり、男鹿市の情報をくまなく検索していた時に、あるTwitterのアカウントに目がとまりました。
水の郷滝の頭でクレソンを育てています。地域の特産品を目指して、....
<成田さんTwitter(@1954ny)より>
ツイートを見ていると、クレソンが毎晩食卓に並んでいる写真が投稿されていて、クレソン好きにはたまらない食卓の写真ばかりでした。
ほぼ毎日投稿されているツイートはリツイートやいいね!も多く見られ、男鹿市の中でインフルエンサーとして上位に入るのでは?!と勝手に思っています。
ちょうど私も男鹿市に住み始めた時に、創業103年の男鹿市にある精肉店「グルメストアフクシマ」さんでクレソンを買った事をふと思い出しました。
クレソンのいろんな食べ方を紹介している <成田さんTwitterより>
プロフィールのリンク設定されているところに飛ぶと、男鹿市五里合鮪川という地域のホームページにとびます。
『五里合鮪川』
皆さんはすぐに読むことができましたか?
もちろん男鹿住民初心者の私は、
「ん?ごりあい?...」となったことをお伝えしておきます(笑)
五つの里が合わさると書いて「いりあい」、マグロと川と書いて「しびかわ」と読むそうです。ホームページを見ていると、地域活動を積極的に発信している地域だという事が一目でわかります。
そんな地域の活動を積極的に行い、特産品を新たに作り出した成田さんに会いたい!と思いお話しを伺いました。
滝の頭の水を使って何か育てる事はできないか?
鮪川(しびかわ)地区で地域の活動に積極的に取り組む成田さん
ークレソンを育てるきっかけは何かあったんですか?
限界集落ということが2010年ぐらいから騒がれていた時があったんです。
その当時、限界集落の概念を提唱していた人の本が出ていて読みました。
私たちが暮らす鮪川もやはり少子高齢化で、高齢者の一人暮らしや空き家が増え、それにともなって耕作放棄地が増えていきました。
学校が統廃合していく中で、このままでは地域がなくなっていくかもしれないという危機感から、自分自身が自治会の役員をやっていた関係でみんなに自分が考えていることを話しました。
鮪川では、自分たちが日々楽しく暮らすことが一番だと考えていたので、
みんなも「そうだな~」って言ってくれ、今後の地域づくりについて話が盛り上がりました。
ークレソンの栽培はいつ頃から始めているんですか?
2011年ぐらいからだから、ちょうど10年ぐらいになりますね。
―どうしてクレソンだったんですか?
地域のものを使って何かやると考えた時に、集落内に位置する滝の頭の水を使って何か育てる事はできないかと考えました。
自治会役員の中に藤里町出身者がおり、藤里町で湧き水を利用してワサビを生産しているという話を聞き見学に行きました。
話を聞くと、ワサビを育てるにはしっかりした設備も必要で、水も予想以上に大量に必要になるという事がわかりました。
育てるには難しいかなと考えていた時に、ワサビの脇の水路に少しだけ自生して生えていた"クレソン"に目が留まりました。その時に聞いた話では育てるには、手間もそんなにかからないということだったので「いいかもしれない!」と思い、クレソンを少し分けてもらって帰ってきました。
試行錯誤しながらまずはやってみる!
鮪川(しびかわ)地区にある成田さんのクレソン田
もらってきた当時は男鹿市内でも数名がクレソンを育てていました。
しかし、気づけば続いているのは自分ともう一人いるぐらいかな?
―思ったより栽培していくのが難しかったということですか?
栽培より売るという事が慣れていなくて難しかったんだと思います。
育てるまではいいけど、販売するノウハウがなかったというか。
自分はやめるのは、もったいないなぁと思っていて気が付いたら10年になっていました(笑)
―クレソンを育てるにあたって、育て方など情報収集はされましたか?
特に何も。もちろん教えてくれた人がいるわけもなく、ひとまず植えてみました。ただ植えて終わり、みようみまねです(笑)
もちろん問題も発生しました。
毎年環境が違うため、伸び方も全然違いますし、無農薬・無肥料のオーガニックで育てているので、いろんなものが発生し、収拾がつかなくなります。
この網は何かわかりますか?
―なんでしょう?獣よけとかですか?
これは、モンシロチョウよけです。
天井になる部分も本当は、虫よけになるものをとりつけたいのですが、去年遮光シートをはってみたら遮光率が高くて、クレソンが全然育たなかったんですよね。
モンシロチョウがいると青虫がついて、クレソンを食べてしまう。
他にも、ヨコエビと言う小さい海老がいますが、これが異常発生すると根を食べるんです、実は何回も発生しています。
駆除するとなると、クレソンも水がないと死んでしまうのでクレソンを端によせ小さい水路に集めておいて、一回水を全部抜きます。
クレソンを育てる上で一番大事なのは綺麗な水ですが、ヨコエビも水が綺麗な所じゃないといない生き物みたいですね。ここは、サンショウウオもいるしモリアオガエルもいます。
ーいろいろと試行錯誤を繰り返しながらやっているんですね。
こちら側では、自分で一つ一つ植えました。
根だけで植えてみたり、こっちは茎をさしただけで育つか試してみたりしています。水の中を歩くのも大変なので、中に板をおいて足場も全部自分で作りました。
クレソンを畑で育てている人もいると聞いた事があります。
花の後に小さい実がついて、本当はそれが落ちて作られるみたいですが、ここは水の流れが早いから流されてしまいます。
耕作放棄地を新たに開拓
―Twitterで拝見しましたが、今年クレソン田を広げられたんですよね?
はい、耕作放棄地を開拓しました。
もともと田んぼをやっていた人の場所を借りています。
田んぼができなくなった人に、自分が草刈りをするので、田んぼを貸してくれないかって何年前からか話をしていた場所です。
最初の場所もそうですが、全部自分の田んぼではないですよ。
ここも、あそこも借りています。
ーそうだったんですか?!
集落の力というのはいかに手入れされて草が刈られているかだと自分は思っています。
集落に入って草が刈られて綺麗に手入れされているところに行くと、そこの地域はやっぱり活力があるんですよね。
統計的に何年後にはこれぐらいの人口になるという推測があり、情報が分かるので、自分が元気なうちは耕作放棄地を少しでも活用したいです。
Twitter 3000人以上のフォロワー、Facebookは5000人の友達
ー私が一番びっくりしたのは、成田さんのSNSでの発信力です。見ている方が多くてびっくりしました。
Facebookの友達登録者数は5000人もいて、男鹿市民60代の中でSNSの先駆者なのではと思っています。本当にすごいですよね。コツを教えていただきたいぐらいです。何かきっかけがあったんですか?
クレソンを宣伝しようと思って始めました。
その当時、秋田県で地域活力プロデューサー育成塾というものがあって、真っ先に手を挙げました。
そこで、計画書を作成し、その計画の中に
・SNSでの発信
・HPを立ち上げ
・直売所を立ち上げて販売する
などの構想を盛り込み、実践した形がこうなりました。
クレソンは上の部分を摘み取り食べるそうです
ーSNSにクレソンの食べ方をいろんなパターンで載せられていて、私も見るたびに食べたくなります。DMで問い合わせなど来ますか?
そうですね。購入したい方のほかに野菜ソムリエの人や料理の専門家の人達から連絡があり、繋がりが広がっています。
皆さんがいろんなアイデアを出して調理してくれるので、私も参考にしています。
中には送ったクレソンを、そのままプランターにさして家庭でそのまま育ててる人もいるみたいです。
ー県内と県外どちらが多いですか?
圧倒的に県外ですね、九州から北海道まで毎年定期的に連絡をくれる人もいますしいろいろですね。
ー知らない人との交流する点で困ったことはなかったですか?
ネット上の交流は楽しい反面、顔が見えないからね。
言葉遣いは気を付けていますね。
冗談で言ったつもりが、冗談で受けとられない場合もあるので対応に困ったこともあります。
でも食べておいしいと言われれば嬉しいですし、皆さんがお返しにいろいろと送ってくれてそれで交流が広がっています。
物々交換じゃないですけど繋がりを感じて楽しんでいます。
ー成田さんの一番おすすめのクレソンの食べ方を教えてください。
ブタしゃぶと一緒に食べるクレソンが一番好きですね。味付けはポン酢で。
さっと湯に通して熱を加えると苦みがなくなります。
クレソン好きな人は苦みが好きな人が多いですよね。
ペーストにして冷凍して食べている人もいるみたいですよ。
関係人口という言葉ができる前から関係人口を築いている成田さん。
SNSでつながった人たちが、滝の頭を見にいきたいという連絡があれば自身で案内をしているとのこと。
クレソンを育てるのが楽しみでもあるから
今ではライフワークの1つになってしまっている
日中は現役で別の仕事をしながら、仕事の前後は必ずクレソン田に立ち寄り、水の状態を確認しているとのこと。男鹿には海の物、山の物美味しい物が沢山有るので、将来は空き家を活用してクレソンレストランができればなと夢を持っていると教えてくれました。
地域のことを一番に考え実行し続ける成田さんは本当にかっこよく、見習いたいところばかりでした。
今日も1つ、男鹿の先輩に学ばせていただきました!
Facebook:Yosinori Narita
「なまはげ」の里男鹿で無農薬無肥料で安全安心なクレソンを育てて居ります。地域の特産品を目指しております!SNSでのご注文も受け付けております。
滝の頭浄水場
〒010-0355 男鹿市五里合鮪川34
水源地見学時間:10時~15時(年中無休)
※見学の際は、管理室にお声がけ頂き受付にて必要事項記載後、見学して下さい。
問い合わせ先
男鹿市企業局 上下水道課 上水道班
電話:0185-46-4105(平日)
0185-25-2844(夜間・休日)
著:男鹿市地域おこし協力隊 吉岡 利那(Twitter:@Oga_Akita_Life)