アツギ炎上の件を真剣に考えた
はい、今回のテーマは表題通りです。
近年、SNS上で企業の炎上が多くみられるようになってきました。
私の場合、公式アカウントが炎上したと気づいた頃には件のツイートが削除されてしまっていて、事実を確認できず「ふーん、今度は〇〇が炎上したのか…」程度の感想で終了のパターンが多いです。
なぜなら、該当ツイートが削除されてしまうと公式でないネット上の様々な"投稿者のフィルターがかかった意見、つぶやき、まとめ"という細切れの情報に頼るしかないので、物事の流れを把握するにはとっても労力がかかるからです。
しかし、今回はnoteをはじめたこともあって炎上した理由について自分なりに真剣に考えてみました。
一般人の考えなので視野が狭かったり問題とズレてしまったりしているかもしれません。また、リアルタイムでキャンペーンを見ていたわけではなく、後追いで情報収集しています。
「今の私はこう考えました」という記録のつもりなので、こんな考えもあるかも、程度に思っていただけると幸いです。
●炎上のあらまし
①だれが :アツギ株式会社(ストッキングやタイツの製造販売)公式アカウント
②い つ :2020年11月2日
③どこで :Twitter上で
④何 を :11月2日の「タイツの日」に合わせて、タイツをはいた女性のイラストなどをハッシュタグ「#ラブタイツ」とともに投稿するプロモーションを行ったところ
⑤どうした:プロモーション内の一部投稿に「女性を性的な目で見ている」とする批判が相次いだ。(広報担当(アカウントの中の人)の公私混同では?との批判も多々あります)
そして、11月3日にはアツギのHPにて謝罪文が掲載され、上記キャンペーンの投稿削除、当面の間は公式アカウントでのツイートを休止することとなりました。
参考:ITmedia NEWS記事
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2011/04/news108.html
●なぜ炎上したか?
結論からいうと、「キャンペーン内容の一部に購買層と乖離した投稿があった」こと、「公式アカウントで私的ともとれる交流をしていた」ためと感じました。
次点は「SNSの性質上、誤情報でも注目が集まるとそれが正になりやすい」ため、でしょうか。
まず、投稿の一部がキャンペーンにそぐわなかったことについて。
今回のキャンペーンではアツギ㈱から複数のイラストレーターさんへ「アツギの製品を着用した女性のイラスト」が依頼されました。
そしてキャンペーン当日に投稿された中に「メイドさんや女学生のイラスト」+「見てもいいよ」というニュアンスの言葉がキャプションで記載されているものがありました。
これはアツギ㈱も認めていますが、女性に向けた日常で身に着けるタイツの広告としては不適当でしょう。メイドさんの方はイラストからちょっとアウトな感じがしましたが、女学生の方のイラストは「見てもいいよ」というワードが加わったことによって、「これはタイツを履く当事者ではなくタイツを履いている女性を見る側へ向けた投稿なんだ」と私は認識しました。
見る側として脚やタイツが好きな層向けの企画ならば問題ありませんでしたが、タイツの製造販売を行う企業の拡販キャンペーンとしてはNGです。
次に、公式アカウントで私的ともとれる交流をしていたことについて。
これは「誤情報でも正になる」に繋がる話なんですが、アツギ㈱のTwitter公式中の人は、イラストレーターのよむ氏と時たまTwitter上でやり取りをされていたようなのですが、
・よむ氏の出版物の購入報告
・コラボ等アツギ㈱に関係のないイラストへのリプライ
などをされていたことがありました。
そもそも、よむ氏の作品が「タイツを履いた女性のフェティシズム」をテーマにしていることが多い(wikiより)とのことなのでタイツに関連はあれどもアツギ㈱製品の拡販に通じるかは疑問です。
そして、今回の炎上騒動をきっかけに公式アカウントをチェックした誰かが今回のキャンペーンに関係のないよむ氏の作品(タイツを履いた女性のイラスト)を故意なのか勘違いなのかどうかわかりませんが「アツギ㈱の#ラブタイツキャンペーンの作品のひとつ」のように拡散し、より燃え上がったのではないかと思います。
該当ツイートが削除されているため、後から騒動を知った側は与えられた情報をそのまま正と受け取る(人も居る)→見たものに関する嫌悪感や企業への意見をツイートする(人も居る)→キャンペーンのイラストを理解している層はそこまで嫌悪されるイラストかと反論する(人も居る)→…
更には、まるで企業には愛着のない、只々趣味で絵を見るのが好きな一部が面白感覚で横やりを入れたり、萌え(というほどのものか判断できませんが)イラストに理解のない一部が萌えイラスト全部を批判したりとだんだん収拾不可能になった感じがしました。
大元のソースがないということは、大多数の人が手持ちの不確定情報から「こうだったのだろう」と想像して議論することになります。
どこかのお節介な誰かが、「公式はこんなツイートしてましたよ」と提示した情報がすべて正しいかは後から情報を知った人には実際問題わからないのです。
アツギ㈱は下記のような謝罪コメントを掲載しました。
2020 年 11 月より弊社が Twitter 上で実施しております「ラブタイツキャンペーン(#ラブタイツ)」におきまして、投稿された一部のイラストに性的な描写を連想させるような不適切な表現がございました。このキャンペーンにより多くの皆様に不快な思いをさせてしまいましたことを深くお詫び申し上げます。
こんな曖昧な文章で終わらせずに、今回のキャンペーンではこんなイラストを掲載しましたが、この内この作品はこういった理由で当社のキャンペーンの意図とは外れてしまっていました。
…なんていう風に実際のイラストを公開していた方がまだ炎上は小規模で済んだのではなかと思います。誰もが自分の手の内にある情報からしか意見を言えないので、公式から共通認識として事実を提示する必要があったと思います。
●最後に
今回の件で勘違いしてはいけないのは、「キャンペーンで問題があるとされたイラスト」及び「キャンペーンの投稿のひとつと誤認識されたよむ氏のイラスト」は、アツギ㈱の購買層をターゲットとする広告には向かなかっただけで、悪ではないということです。
アツギ㈱の謝罪文でも下記のように記載されています。
本キャンペーンにご協力いただいております、イラストレーターの方々に配信いただきましたイラストにつきましては、全て事前に弊社で監修しており、イラストレーターの方々に非は一切ございません。
コミックスに男性向け、女性向け、少年向け、少女向け、なんていう区切りがあるように大体の商品には「ターゲットとする範囲」があります。
八方美人にみんなが好きなものを作ろうと思っても、そんなものはほとんど完成しないでしょう。家族だって友達だって嗜好がバラバラなのにみんな、なんてムリ。
しかし、女性が少年漫画を読んだり、逆に男性が少女漫画を読んだりすることもあります。ターゲットを向けている層以外からも支持が集まることもある。男・女・年齢なんていうデータでは管理できないそれぞれの考え方や嗜好が多岐に亘っているからこそ、エンタメ・娯楽は多角方面から創作されて人生は豊かで楽しいものになるのだと思います。
着地点がふわふわしたけれど、企業側はキャンペーンに対するチェック体制の甘さを改善すること、炎上した際は事実を確認できる環境をつくることが重要で、消費者側は直情的につぶやくのではなく、自分が不快に思うことも誰かが大事にしているコンテンツだと理解や歩み寄りをすることが大事かなと思いました。
(近づかなくていいコンテンツなら「見なかったふり」でやり過ごすのも手かな)
長々書いてしまった。。次は明るい話題でも書きたいな