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[5] Mondrian @Duxton, Singapore

滞在時期:2024年10月

1990年代頃に生まれた「ブティックホテル」というジャンル・カテゴリーは、瞬く間に世界的なトレンドとなりました。そのブティックホテルブランドとして、Mondrian Hotelsは殿堂入りしていると称して良いでしょう。
アメリカLAに始まり、世界各国10都市、アジアではシンガポール以外でも香港と韓国で展開しています。

泊まったのはシンガポールが初めてだったのですが、ブティックホテルの強みと弱点を、わかりやすく体験できました。

そもそもブティックホテルとは?

恐らく業界人か、ある程度のホテル・旅好きにしかピンとこない言葉でしょうか。定義が曖昧かつ、「ラグジュアリーホテル」のように歴史があり、定着した概念ではないからだと思います。

起点はIan SchragerとSteve Rubellが1984年にニューヨークで開業したMorgans Hotelです。(因みに二人はStudio54というニューヨークの伝説のナイトクラブの共同創業者・オーナーでしたので、人間的な欲望や、本質をついた「かっこよさ」への理解、当時の都市カルチャーの最先端の感性を持ち合わせていたと思います。)

Morgans Hotel が実現した革新的なことは主に2つでした。

1)部屋を極限に狭くまとめ、共用部(ロビーなど)を宿泊者やファッショナブルな地域住人が利用したくなる、煌びやかな設備にしたこと

2)Low Cost & High Visual Impactのインテリアデザイン・マテリアル選定に徹底したこと

当時人々が憧れる様な豪華なホテルの雰囲気を、部屋数を最大化して不動産収支が合うよう、リーズナブルな価格で提供した事で、Affordable LuxuaryやCheap Chicとも言葉がつきました。
言い換えると、中所得者層(マス消費者)の宿泊客も「私もイケてるじゃん」という気持ちになれるようになった、ホテル業界の進化でした。

余談ですが、Ian Schragerはその後、Public Hotel等いくつものブティックホテルを展開し、Morgans Hotel Groupとして2006年には500億円規模での上場させ(現在はAccor傘下)東京人にも馴染みのあるEDITION Hotelsのデザイン監修をしたり、業界のレジェンドとして大暴れしています。

写真映えする仕掛けや色使い

マテリアルに重厚感はない。けれどデザインは細部まで施されていて、空間はカッコイイ。嫌らしさもなく、誰にでも「スタイリッシュだな」と言わせれる様に設計されています。但しラグジュアリーホテルの客層には、「質感が安い」という言われてしまうので、価格設定は意外とチャレンジングです。前回同様写真多めでまとめます。(これが楽だと気づいてしまった)

内側に鏡を入れたエントランスのアーチ
凸凹のミラー素材を程よく使ったり、突出したシャワーブースは緑で上手く部屋のアクセントにしています。
コーナーライト。無くてもいいけど、あると結構変わる。
バスルームもコンパクトですが、造形、色、ライトで上手い事やってます。
細部の施工はやはり東南アジアクオリティー
廊下も細長いライトと緑の基調は崩さず
エレベーターも部屋の延長のよう
ルーフトップのプール。非常に快適で一番の推しです。
シンプルでかっこいいエントランス
KAWSでバッチリの外観(シンガポール関係ないやん)

都市のSocial Sceneとしての存在

これは流石というくらい、併設しているJungle Ball Roomは夜になると大人気でした。シンガポール自体が都市として若く、ダイナミックなので、音楽が絡むナイトクラブなどのSocial Sceneはどこも良く言えばトレンディー、口悪くいうとミーハーな印象です。音楽や芸術などをがっつりコモディティーとして扱い、マスには刺さりやすく、お金になる市場は掴んでいる、いわばブティックホテル・ビジネスの成功例でした。(但し個人的に目標にしたいと思うホテルではなかったです。)

Jungle Ball Roomには長蛇の列
(客層は外国人駐在員が多く、東京でいう六本木・西麻布系でした)
Jungle Ball Room内のバー
人口密度が高く踊れるスペースは限られていました


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