見出し画像

全力で推したいダジャレ【毎週ショートショートnote】

私の彼氏はイケメンだ。性格もすごくいい。
だがひとつ困ったクセがある。
とにかく病的なまでに、駄洒落が好きなのだ。
今時真顔で「布団が吹っ飛んだ」とか言う奴が、この世のどこにいるのか。

そろそろプロポーズが近そうな気配はするけれど、彼のことだ。
薔薇の花束の代わりに日本酒の一升瓶を取り出して「一生、いっしょに」とか言いかねない。ねじりこんにゃくで作った指輪を『コンニャク指輪』なんて差し出されたら、絶対別れてやる。


「結婚して下さい」

シンプルな言葉と共に差し出された指輪のケース。
いや、まさか。きっと何か落とし穴があるんじゃ……

「返事は?」
「え?あ、えーと……はい」

彼はほっとしたように微笑んだ。
どうやら杞憂だったかと安心した私が、酒瓶とこんにゃくの話をすると、彼は大笑いした。

「真面目な里穂がそんなこと言うなんてな。駄洒落好きの俺としては全力で推すよ。まあもちろん……」

駄洒落がなくても全力で里穂を推すけれど、と照れくさそうに呟いた。

(411字)

【あとがき】
ただいま年内最後の大きめ公募に挑戦中の秋しばです。
でもそっちより、今週のお題の方がはるかに大変……完敗(涙)
駄洒落って、意外に難しいですよね。やり過ぎるとくどいし。
駄洒落を上手に言える人って、ほんとうに洒落た人だと思います。


*この記事は、以下の企画に参加しております。

お読み下さってありがとうございます。 よろしければサポート頂けると、とても励みになります! 頂いたサポートは、書籍購入費として大切に使わせて頂きます。