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非情怪談【毎週ショートショートnote】

「それではこれより『非情怪談百物語』を開催致します」

陰鬱な司会の言葉に、暗い部屋に集まった参加者からぱらぱらと拍手が上がる。『非情怪談百物語』は、名前のとおり互いに非情極まりない話を語り合う催しだ。必ずしも霊や怪奇現象の話である必要はない。ただし相手に強い恨みを持っていることが必須条件だ。

「夫が若い女性と不倫して、自分はあっさり捨てられた」
そりゃひでえ、呪ってやれ、などの相槌が飛び交う。

「上司のパワハラで病んだのに、無能と言われて辞めさせられた」
ふざけんな、労基だ労基、と同情の声が上がる。

陰湿な嫁いびり、迷子を保護したら変質者として晒された、と老若男女を問わず怨嗟の叫びは尽きることがない。

話が一巡したところで、再び司会者が口を開いた。

「それではお約束どおり、今夜のお話を録音した音声を無修正で配信いたします。無論、相手の名前や立場等もそのままで。皆様を苦しめた相手はさぞ慌てることでしょう」

参加者が一斉に、にたりと笑う。
どうやら怪談を百語ると本物の恐怖を生むという伝説は本当らしい。


【あとがき】
創作大賞も終わり、再び公募と寄稿原稿に励む秋しばです。
と思っていたら、今週の毎ショはホラー!!!
ホラー、苦手なんですよ。読むのも書くのも。えーん。
でも実際には、締切が少しずつ迫ってくるのがいちばんホラーかもしれません。創作大賞で、あるメディア様のコメントにありました。
「恐怖そのものよりも、来るぞ来るぞと思っている時がいちばん怖い」
……納得ですね(涙)
冗談はさておき、やっぱり世の中で本当に怖いのは ”人” なのかもしれませんね……。


*この記事は、以下の企画に参加しております。



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秋田柴子
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