バイリンガル餃子【毎週ショートショートnote】~秋(田柴子)の餃子祭り
最近、物書き界隈で奇妙な噂が流れていた。
なんでも「物語を書く動物」がいるらしい。犬や猫、驚くことにカニまでも!
ただ彼らの書く物語はそれぞれの動物の言語だから、人間には判らない。
熱心な読み手でもある物書きたちは悔しがった。
「読めないと思うと、よけい読みたくなるのが人情ってものだよね」
ある日、一人の物書きが耳よりな話を聞き込んできた。
「その犬に餃子食べさせるといいらしい」
犬に餃子!!
物書きたちは驚いたが、物は試しと熱々の餃子をたっぷり買い込んで、その犬のところへ行ってみた。
「あの、よかったらこれどうぞ」
犬はたちどころに餃子をぺろりと平らげた。
そしておもむろにPCを取り出すと、ニンニク臭い肉球でぽちぽちとキーボードを打っていく。
「すごい、読める……!」
どうやら餃子を食べた時だけ、人間の言葉を操れるようになるらしい。
ただ残念ながら、猫やカニのためのマジックフードは見つかっていない。
有力な情報が待たれるところである。
(409字)
【あとがき】
『毎週ショートショートnote 秋の餃子祭り』が本日より開催だそうですね。
いや、めでたいことです。
ちなみに言うまでもないことですが、この作品はフィクションです。
実在の犬、猫(招き猫含む)、カニ等には一切関係ありません。たぶん。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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