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感想文部【毎週ショートショートnote】
「田原君の配属先は『感想文部』だ。頑張ってくれよ」
俺は心の中で蒼ざめた。
感想文――子供の頃から宿題の中でいちばん苦手だったのに、よりにもよって……どうせなら得意の『工作部』がよかった。
ありとあらゆる企業に振られ、ようやく内定をもらえたのがこの『宿題請負会社りみっと』だった。
子供の宿題を一手に請け負い、社名どおり必ず期限を守ると評判の企業だ。
「依頼者の年齢や性格に合う本を選んで、それに相応しい感想文を書くこと。間違っても小1で太宰治の『人間失格』とか選ばないで」
最初の仕事は小6の女の子の感想文だった。母親のコメントによると、真面目でしっかりした子らしい。
じゃあ夏目漱石の『吾輩は猫である』なんかどうだろう……
「田原君!!」
先輩の怒鳴り声が響き渡る。あれ、何かまずかったかな。
「何これ!『主人公なのに最後まで名前すらつけてもらえないのは、れっきとした動物虐待だと思います……』――ボツ!!」
やっぱり感想文なんて、きらいだ。
【あとがき】
簡単そうに思えて、意外に難しかったです。
今回は、この『毎週ショートショートnote』でもよく知られたりみっとさんに、無断のご出演をして頂きました。
りみっとさん、勝手に登場させて申し訳ありません……
*この記事は、以下の企画に参加しております。
ちなみにちょこっとだけ宣伝を。
光文社文庫Yomeba!ショートショート公募第19回『ゲーム』にて、拙作『ミッション・テンパッシブル』を優秀作に選んで頂けました!
9月半ばに、優秀作21点の中から入選作が選出される予定です(緊張)
入選作は、のちに『ショートショートの宝箱』という文庫本に収録されるので、そうなったらいいなあと夢を見る秋しばです。
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![秋田柴子](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/62695480/profile_93a96782c5ccd4514977a3b3b176e752.png?width=600&crop=1:1,smart)