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恐るべしディラン効果 ~第一回サイゼ文学賞(非公式)

福島さんの企画に参加させていただきます!


人はサイゼに何を思うのか。

それは本当に様々だろう。
家族全員で食べても安い。かの有名なミラノドリアの大ファン。なぜファミレスにエスカルゴ。フォッカチオの食べ方バリエのあれこれ。

だが、ごめんなさい。
私にとってのサイゼとは、ずばり

「原稿の校正を頑張る場所」


なのである。
何しろ長時間在店のお詫びに何回追加注文しても安いし、ドリンクバーもあるし。

同じ位置づけにやはりファミレスのデ◯ーズがあるが、こちらはちとお高いので、そこはうまく使い分けている。いずれにせよ、ランチのピークタイムは避けた方が望ましいのは言うまでもない。

ちなみ私がファミレス系に行く場合、その店のドリンクバーがコカ・コーラ系列でないと、次の再訪は絶対にない。それは以下の厳然たる理由による。

・ペプシよりコカ・コーラ派
・果汁100% ジュースがほしい
・イタリアンにはジンジャーエール必須

これが某サ◯トリー系列だと叶わないのである。

正直に告白しよう。
私は遠い昔に一度サイゼへ行ったきり、その後長い間足を運ぶことはなかった。美味しくなかったわけでない。その安さには、確かに感動した。
だが昔のサイゼは、ドリンクバーがサ◯トリー系だったのだ。

それから長い時が経って偶然入ったサイゼで、あの赤地に白抜き文字のマシンに変貌したドリンクバーを見た時の感激を判っていただけるだろうか。Benissimo!!(素晴らしい!!)


さて、そのサイゼ。
かつての某牛丼屋ではないが、「早い・安い・うまい」はこの物価高でも健在である。我々庶民にとって、これほどありがたい店はそうそうない。
そんなわけで私は原稿がある程度仕上がってくると、いそいそとサイゼに足を運ぶ。

子供の騒ぎ声や中年女性の爆笑など、店内はそれはもう賑やかだ。
でもそんなのは別段気にならない。そもそもそんなところで作業している方がイレギュラーな存在なのだ。
私はもくもくと紙の束に赤ペンを走らせる。

だが、どうしても。
サイゼにいると、どうしてもどうしても気になることがひとつある。

あの妙に耳に飛び込んでくるエンドレスのBGM!!!

一度気になりだすと、もう校正どころではない。
能天気なまでに明るいメロディと外国語の歌詞が、耳と脳にぐりぐりとねじ込まれる。私の中に渦巻いていた原稿のフレーズは、あえなく意識の彼方へと消え失せていく。

そのたびにいつも思うのだ。

「ここで働いてる人たちは気にならないんだろうか……」

まさかバックヤードで曲に合わせてみんなで踊っているわけでもあるまい。
(それはそれで見てみたいが)

だが世の中には似たようなことを考える人が多いらしく、探してみたらこんなものがあった。

「サイゼのBGMってこんなにたくさんあったのーーー!!!」
と、みなさん思ったのではあるまいか。

音楽はまったく不案内だからよく判らないが「カンツォーネ」と呼ばれるジャンルなのだろうか。歌っているのはイタリアの方が多いようだが、遠い東の果ての小さな島国のレストランで、自分の歌が延々と流されているってどんな気分なのだろう。
さしずめ北欧かどこかの「SUSHIYA」で、石川さゆりや氷川きよしが流れているようなものだろうか。

しかし不思議なことに、私がよく行く店でかかっている超能天気ソングは、どのサイトをどれだけ探しても見つけることができなかった。

我々庶民の味方のサイゼだが、隠された謎は深い。
それもまた、あの魔物のような魅力の根源なのかもしれない。

(了)

*この記事は、以下の企画に参加しております。

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秋田柴子
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