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砂利ベッド売り【毎週ショートショートnote・裏お題】

「ベッドを買って頂けませんか?」

人が行き交う繁華街の片隅で、か細い震え声が耳に入った。
見ると粗末な服を着た少女が、縋るような目でこちらを見上げている。

「何を買ってくれって?」
「ベッドです。買ってもらえませんか」

ベッド?だがそんなものは見当たらない。

「お嬢ちゃん、ベッドってどこにあるの?」
「大きい物だから、後からトナカイがお届けします」

トナカイ?だんだん話がおかしくなってくる。

「どんなベッド?」
「砂利ベッドです」
「は?」

少女の痩せた頬にぱっと紅みが差す。

「中に砂利が詰まってるんです。たとえば四万十川の砂利を使ったベッドは、まるで自然の中で眠っているようにリラックスできます。最高級は伊勢神宮の玉砂利ベッドで、寝ている間に神がかり的な閃きを……」

どうも怪しい。子供がこんなこと言うか?

「薔薇色のお洒落な庭砂利は女性に大人気なので、彼女さんも……あ、もしかしておひとり様ですか?」

「ジャリが余計なこと言うんじゃねえーーーーー!」

(414字)


【あとがき】
最近の子供は怖いですねえ。うっかり親切心を出すと、とんでもない目に遭いそうです。子供のことを指す「ジャリ」って、関西の方言だったんですね。「ガキ」と一緒で、普通に全国で使われる少々よろしくないニュアンスの俗語かと思ってた(笑)
しょーもないオチですみません。

*この記事は、以下の企画に参加しております。



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秋田柴子
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