君に贈るランキング②【毎週ショートショートnote】
――だから合コンなんて嫌だったんだ。
数合わせで呼ばれたことは判ってた。
でも僕以外は、みんなそれなりの外見と結構なキャリアの奴ばかりだ。
「今日はまあまあだよね。Bランク?」
「○○さんはA!」
女の子たちのひそひそ声が耳につく。
「でもさあ、一人残念なヒトがいるよね」
「いるいる、Fラン君が」
グラスをあおって聞こえないフリをしたその時、一人の女の子の姿が目に入った。
ひどく地味なその子は、部屋の隅で所在なさそうに小さくなっていた。
きっと僕のように数合わせで呼ばれたのだろう。
あるいは意地悪な子たちの引き立て役のために。
僕は思い切って彼女にそっと声をかけた。
「あの、よかったらまた会いませんか?その……友達としてでも」
驚いた彼女は、それでも嬉しそうに頷いてくれた。
僕から君に、心を込めて贈るFランク。
そう、FriendだってFなんだから。
え?その後彼女とはどうなったかって?
もちろんFランクのままだよ。
Familyという名前のね。
【あとがき】
1本めのあと、たらはさんやへいたさんと「ランキングの言葉をどう料理するか」という話になり、再度チャレンジしてみました!
他の方々の作品や、書き手の方々との「反省会」は、貴重な刺激です(感謝)
それにしても、この難題をカレーに例えるへいたさんの卓抜したセンスに敬服します(笑)
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