チャリンチャリン太郎【毎週ショートショートnote】
あるところに太郎というひどく貧乏な男がいた。
だが根っから真面目な太郎は、常に神社へのお参りを欠かさなかった。
「なに、気は心ってやつよ。それに神様は賑やか好きだからな」
そう言って、細かい硬貨をチャリンチャリンと音を立てて賽銭箱に放り込む。まるで力士が塩を撒くような豪快な投げ方が評判になって、いつしか「チャリンチャリン太郎」なる渾名がつくほどだった。
喜んだ神様は、太郎にちょいと幸運を授けることにした。
するとあれよあれよという間に太郎のもとに金が集まり始め、ついには長者番付に名を連ねるまでになった。
「結局、金がすべてだ。金さえあれば……」
大金持ちとなった太郎は、次第に昔の心を忘れていった。
唸るほど金があるくせに、人のために使うことを渋り、自分の金が減ることをひどく嫌がるようになった。
「ちくしょう、金が足りねえ、金が……」
その浅ましい変わりように、人々は陰で噂した。
「あいつほどケチはいねえ。ありゃタリンタリン太郎だね」
【あとがき】
皆様のお話を読んでいて、単にお題の言葉を埋め込むだけではなく、そこから更に変化をさせるというスゴ技に驚嘆しております。
というわけで、早速マネっこしてみました(笑)
最近は参加者様もぐっと増えて、とても勉強になります。
何より楽しいですね~。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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