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男子宝石【毎週ショートショートnote】

「『男子宝石』?ふん、また男のくせにチャラついてのか」

多良たらさん多良さん、ヤバいっすよ。近頃はそういうの厳しいんですから」

「るせーな、そんなの知ったことかよ。だいたい何だ、その『男子宝石』ってのは」

「はあ、何でも男を宝石の型に当てはめたものらしいです。ダイヤ型は堅実とか、ルビーは情熱的とか。その時どきの流行り型の宝石をつけた男が、女にもてるみたいですよ」

「へっ!ならこっちも負けてねえや。見てろ、平太」

多良は広い海に向き直った。
長年の勘は伊達じゃない。魚群探知機がせわしなく反応する。
多良の眼が鋭く光った。

「多良さん!」

「来やがったぜ、今年初のクロマグロだ!大間の海の男はこいつで勝負すんだよ!」

昔ながらの一本釣りで見事引き上げられたクロマグロを引っ提げて、船は悠々と帰港した。

「おう多良さん、こいつはいい値がつくぜ。何たってクロマグロは『海の黒ダイヤ』って言うぐらいだからな」

若い平太を振り返り、多良はにやりと笑ってみせた。

(414字)


【あとがき】
11月末締切の公募に追われて、不本意ながらこちらの道場に遅刻してしまいました。けれどもう既に、皆様の作品が煌びやかに並んでいて……💦
そんなわけでちょっと目先を変えた題材にしてみました。
青森県の大間は、言わずと知れたマグロの港。一度行ってみたいですねえ。


*この記事は、以下の企画に参加しております。

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秋田柴子
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