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神様時計【毎週ショートショートnote】

「皆さん、入学おめでとう。今日からは新しい気持ちで……」

校長らしき爺さんの挨拶は延々と続いた。

「人は死んだら、神になって現世の人を守ります。そこで必要となるのが『神様時計』です。今日から神になった皆さんは、まずその使い方を学んで下さい」

教室内が騒めいた。
俺を含め、みんな寿命を終えて現世とおさらばした奴らばかりだ。

「大切な人の幸せな時間を長く、辛い時間を短くしてあげましょう。さあ針を動かしてみて下さい」

配られた時計を手に取ると、家族の顔がぼうっと文字盤に浮かんだ。
雅子、徹、あかり……
――あれ、ぐっと進んじまった。と思ったら後戻りしやがる。
なかなか難しいもんだな……

* * *

「あの人が亡くなったら、ぼんやりしちゃって。気づくと何日も経ってるのよ。嫌ね」
「仕方ないよ。俺も突然、昔の親父の姿を思い出すしさ」
「映画みたいに、いろんな場面がざーっと流れたりね」

老いた母と子供たちは、晴れた空を揃って眩しそうに仰ぎ見た。


*本作品はamazon kindleで出版される410字の毎週ショートショート~一周年記念~ へ掲載される事についてたらはかにさんと合意済です。



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