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顔自動販売機【毎週ショートショートnote】

東京でもわずか数台という、希少価値MAXの「顔自動販売機」に丸一日並んだ。お高いからパーツしか買えなかったが。

【お買い上げの製品と見本の顔写真は大切に保管してください】

早速つけてみると、ごく自然なフィット感に驚いた。これが自販機の製品か。整形手術顔負けだ。やったことないけど。

「◯ちゃん、変わったね」
「最近きれいになったんじゃない?」

微かに妬みの混じった称賛と、露骨に温度の上がった男性からの視線が心地いい。途轍もなく高額だけど、これなら元が……

「あれ?」

鏡に映る顔の色がおかしい。
ふと見ると、机の上の顔写真が日に当たって変色していた。

「やばっ」

慌てて引き出しにしまうが、中がいっぱいで写真がくにゃりと折れた。途端に顔に大きく皺がよる。

「きゃあああ!」

再び写真を机の上に戻すと、ねこのタマが部屋に入ってきた。

「タマ、だめ。部屋から出て……」

だがタマは無視してひらりと机に飛び乗った。

――かりかりかりっ

高らかな爪研ぎの音と共に顔に激痛が走り、何かがびりりと破れる音が聞こえた。


(433字)*だいぶオーバーしました。すみません(汗)


【あとがき】
長く患っていた義父が逝き、慌ただしい日々を送っておりました。少しずつリハビリを、と思っているのですが、このお題はリハビリにはちょっとキビしい(笑)
まだボチボチ投稿になりますが、どうかまたお付き合い下さると嬉しいです。よろしくお願いします。

*この記事は、以下の企画に参加しております。


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秋田柴子
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