なぜ、沖縄で日本語がはなされているのか?ー戦後沖縄言語教育秘史ー
私が小学校4年生の時、大阪の万国博覧会に行きました。
そこで、タクシーの運転手に言われたことが今でも忘れられません。
「ぼうや沖縄なのに日本語じょうずだね」。
当然のように日本語を話していたぼくにはショックだったのですが、当時の沖縄は米軍統治下。日本ではありません。私も「パスポート」を作って沖縄から大阪に来たのでした。だから、タクシーの運転手が、沖縄では英語が公用語だろうと思うのは当然だったのです。
でも、それでは、なぜ戦後も沖縄で日本語が公用語になったのでしょうか。
考えてみれば不思議ではないですか?
実には、それには、とても面白くて少しだけスリリングな物語があるのです。
戦後の沖縄は米軍が統治したので、公用語が英語になっていても不思議ではないですよね。戦前日本に差別され苦しんでいたのなら、将来の独立を見込んで、「沖縄語」を公用語にしても良かったはずです。
『琉球資料』という史料集に、こんなエピソードがのっています。
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