翔べ君よ大空の彼方へ 7-⑩ いざ英国へ
鮮やかな緑を付けた木々の葉が、心地良い風に揺れている。
高台から望む琵琶湖が、まるで万華鏡のようにキラキラと輝きを放っていた。
翔馬はひとしきり、その美しい景色を眺めた後、目的の場所へと向かった。
親友でもある好敵手は、変わらずに笑っていた。
彼の大好きな花を添え、翔馬もまた笑みを浮かべた。
「お腹空いてないか?お前の好きな京華堂のおはぎ持ってきたぞ!一緒に食べようぜ!」
翔馬はペットボトルのお茶とおはぎの入ったパックを供え、自身のペットボトルを掲げて、〝乾杯!〟と言った。
翔馬はお礼と報告、そして誓いの為にこの場所にやって来たのであった。
天馬に乗って現れ、勝負をしてくれた事への御礼、不屈の闘志で命を掴み取った白馬が世界一になった事の報告と、そしていよいよ三冠への戦いに挑む事、ファイアスターと共に必ず掴み取ってみせる!との誓いをする為に。
異国で圧倒的勝利を収め、英二冠馬となったファイアスターは、勢いそのままに挑んだ愛ダービー(6月下旬、カラ競馬場、2400メートル)でも驚異的な末脚を見せつけ、8馬身の差を付け圧勝、英愛ダービー馬の称号を獲得した。
当初は、7月上旬に帰国をし、8月中旬に再び渡英をする予定であったのだが、ファイアスター自身が、広大なる英国の大自然をすこぶる気に入ったのであろう
、毎日を嬉々として過ごす様子であり、また、最大の協力者である受け入れ先のアーロン調教師が、〝ぜひ最後までファイアスターに関わらせて欲しい!〟と
依頼があった事から方針を転換、帰国を取り止め再びニューマーケット調教場近郊の、アーロン師の実家でもある育成牧場で英気を養い、秋に備える事となった。
ファイアスターについてアーロン調教師は、とにかく元気で毎日仲間と駆け回っている事、馬体重も440キロを超え、体高も伸び完全に芯が入り、以前よりもハードな調教を難なくこなし、一段とパワーアップしている事、とにかく好奇心旺盛で、探検をしたいのであろう•••時折柵を飛び越え脱走する為、昼夜問わず見張りを付けている事、そして翼は非常に優秀であるから、ウチの父が牧場を継いでくれ!と言っている事等、面白可笑しく報告していた。
〝あいつ、そんなに優秀だっけか?〟
翔馬は苦笑いを浮かべながら、親友の分のおはぎに手を出している。
〝まあ、優秀だからフランスでもイギリスでも長期滞在させてもらえるのだろう〟と無理矢理納得させる事にした翔馬である。
「さて•••と」
翔馬は立ち上がり、瞑目をし手を合わせた。そして、力強く宣言をした。
「じゃあ、行ってくるわ!」
翔馬は背を向けた。
目的地へと羽ばたくその力強い足取り。
いざ、英国へ!
いざ、三冠制覇へ!
そして、その先へ!
見知らぬ世界を知る為に、共に一つになり、夢へと向かう。
今や、翔馬の背中は眩い程の黄金色の輝きを放っていた。
PS•••いつもお目に留めて頂き、心より感謝申し上げます🥹🙏
ただいま北海道へ上陸、静内へ移動中🚘レックススタッドへ寄り、その後ホテルに入り、夕方からは牧場スタッフと食べて飲んで🥩🍺🍻🤭
馬旅の詳細は後日掲載します🐴📣
遂に、遂に翔馬があの夢を⁉︎
今は天国で眠る好敵手の朝日未来が見たという人馬一体の夢を⁉︎
それではまたお会いしましょう😊🙏
AKIRARIKA
馬旅続きます🐴🍚🤣