リーンスタートアップとリーンマネジメント その1

<前回の復習>

細野真悟さん(詳細は一番↓)のビジネス勉強会 副1000にて現在学んでいることのアウトプットをしています。前回はビジネスモデル方程式 その3 サービスモデルをお届けしました。

人がほしいと思うアイデアの出し方『デザイン思考』と、人がどういう行動をついとってしまうのかという学問『行動経済学/ソーシャル物理学』を学びました。行動経済学最強ビジネス デアゴスティーニを例に行動経済学の様々な理論を吸収することができました。

今回のリーンスタートアップは、デザイン思考で出したアイデアを発展させる手法になります。まだ読んでない方はビジネスモデル方程式 その3 サービスモデルをご覧になって頂けたら嬉しいです。



<定義>

・リーンスタートアップ lean startup

2008年「Lean Startup」でエリック・リース氏が提唱
顧客を巻き込んで仮説検証を素早く回す事業開発手法 ➔スタートアップが無駄なく事業を立ち上げていくための手法。

・リーンマネジメント lean management
リーンスタートアップ実践のためのマネジメント手法
大企業マネジメント層に必要

何のこっちゃ?
初心者にはハードルが高い。。。

そもそもビジネスにおける最大の悲劇は『顧客から必要とされてないものを作ること』であり、『未知のサービス』に挑戦するスタートアップではそれが顕著です。サービスモデルで述べたように、『良いものだから売れる』という時代ではなくなり、『顧客がほしいものこそが売れる』時代になってきました。

「じゃあ『顧客のほしいもの』ってなーに?」を見つけなければいけません。その方法の1つがデザイン思考(サービスモデルを参照)であり、そのアイデアをビジネスとして実現させる方法がlean startupです。

lean =ムダを排除した状態のこと。ムダの排除 = 『問題の顕在化』+『生産性の向上』ということで、lean startupの具体的な方法はこの2つ。
・『問題の顕在化』 = 仮説/検証を繰り返す(顧客で実験)
・『生産性の向上』 = 小さな単位で細かくやる(スモールバッチ + ワンピースフロー)

つまり、lean startupとは『アイデアを生み出す手法ではなく、ビジネスとして成立させるマネジメント方法』と理解頂ければ大丈夫です。そして具体的なやり方は『仮説/検証を繰り返して、小さな単位で細かくやろうね』というイメージです。詳細は『3つのセオリー』で後述します。


<既知と未知の問題解決方法の違い>

『既知のこと』の問題解決はウォーターフォール型(waterfall)『未知のこと』の問題解決はlean startup、アジャイル開発(agile:素早い)が適していると言われています。資本力がなく、未知のこと(新規事業)にチャレンジする我々は仮説/検証を繰り返して、成功確率を上げるlean startupしか適応できないと思います。


既知のビジネス

・『既知のこと』 = ウォーターフォール型問題解決 ➔ 演繹法のイメージ

すごい詳細な設計をして、システムがほぼ完成するレベルの詳細(ゴール)を決める。少しでもズレるとすごいコストがかかり大変。顧客に先に流すと競合にバレるから、β版でリリースできないというジレンマをリクルートは抱えていたよう。


未知のビジネス

・『未知のこと』 = lean startup、アジャイル開発(agile:素早い) ➔ 帰納法のイメージ

この世には2つのフェーズしかない。もぐりフェーズ浮上フェーズ。もぐりフェーズでは密かに実験して仮説の検証をする。浮上フェーズでは実験してうまくいったものだけ浮上させる。伸びシロがないとそもそもやっても無駄だから、デザイン思考で伸びシロをきちんと探しておくことが重要。



ではここからは、lean startupの具体的な方法について触れていきますね^_^

<3つのセオリー>

● リアルオプション real option

 = 「仮説・検証しましょうね!」

リアルオプション1

この質問に対して、みなさんはどのように答えるでしょうか?ここでは期待利益を計算して答えを出していきます。

リアルオプション2

期待利益が「-100万円」となり、確率的に『やらない方がいい』という答えになります。

ではこのような前提があればどうでしょうか?

「もし100万円の実験をして、

    成否が100%わかるとしたら、

        この事業をするべきかどうか?」


リアルオプション3

仮説が正しいか間違っているかの判定をできる実験を思いついた瞬間に、期待利益が「+300万」になるということが、実験駆動型マネジメントの最大のポイント!!だから『仮説・検証』しましょうね。



● スモール・バッチ+ワンピースフロー small batch + one-piece flow

 = 「小さい単位で細かくやりましょうね!」

スモールバッチ、ワンピースフロー

実は正解は「A」なんですね。わたし見事に間違えました笑

Aは1個流し(ワンピースフロー)、Bはロット処理といいます。Bの方法(ロット処理)が遅い理由は、中間工程が多くてロスが増えるからだそうです。折った紙をまとめる、紙を入れた封筒をまとめる、みたいな工程が蓄積するとばかにならないみたいです。しかしそれ以上にBがダメな理由があります。

Bの工程をやってはいけない最大の理由は

  『最後にまとめてやると、超大失敗になる

             可能性があるから!!』

上記の実験だと、紙が3つ折だと封筒に入らなくて、4つ折にする必要があるので全てやり直しになります。Bの工程だと、これが判明するのが最後だよね。。。ゾッとするわぁ〜((((;゚Д゚))))

工程がわからないような『未知なるもの』をやる時は、この最後の大失敗がつきまとうから、スモールバッチ(小さな単位)でやるべき!既知のものと未知のものをやる時は、やり方を変える必要があるんですね。

合言葉  『バッチサイズを小さく、ワンピースフローで!』

・『バッチサイズ』: 作業を行う単位の大きさ(処理するロット量)。特に次工程へ進むまでに実施する作業量。小さくするほど無駄は減る。例えば今回の実験だと「2枚ごとにやる」みたいに小さくする。
・『ワンピースフロー(1個流し)』:作業の各工程を連続して実施するやり方。分業ではなく協業で行う。同時にやるほどムダな時間がなくなる。最後の工程までやり通してみて、どういう問題があるかを確かめながら進む。

少ないコストで、短い時間で、うまくいくかどうかの成否がはっきりわかる実験をスピーディに行うことが重要。

ちなみに、『スモールスタート』『小さく実験』は全く違います。
『スモールスタート』:大きくやって失敗したら怖いよね。「やること前提、うまくいく前提」だけど、とりあえず小さくやってみよう。
『小さく実験』:「成否がわかる or うまくいく確率を高める」判定ができる実験をすること。プロジェクトをギャンブルにさせないためにする実験。

➔ 今回お話したのは『小さく実験』をやりましょう、ということですね!



● ポートフォリオ portfolio

 = 検査後確率の積み重ね

・従来のやり方:プロジェクトの企画でよくある失敗。「自分のありたい未来は?」「3年後のゴールは何か」などのゴールを議論してから始める。未来が予想しやすい時代の化石であり、『いま ➔ 未来像』を議論しないと進めない過去のやり方。

・これからのやり方現状の問題点と仮説を立てる。その時点で思いつく実験をばらまく。うまく行ったものへ進み、他がうまく行かないことがわかった情報を得る。その時点でさらに実験。うまく行ったことを繋いで線にする。その道筋が未来になる。検査後確率の積み重ね。

ポートフォリオ

ポートフォリオ2

上記のように、うまくいった実験を繋いでいくことでゴールへ向かう。今やれる実験をやって、うまくいく所まで行ってまた考えていく、という仮説・検証を繰り返して、積み重ねていくことが重要。最初に『全体の方向性と仮説(ゴール)を立てる』のはよいが、どのようにやるか(how)の部分まで詳細なロードマップを書きすぎるのは止めた方がよいということなので注意!


<2つのツール>

● バリデーションシート validation sheet

あるビジネスを思いついた時に、下記のバリデーションシート 3枚配布して実験を3つ動かす(実験をたくさんやった方がいいからね)。チーム内共有して、議論を通じてチーム自体が実験駆動型になるためのツール

バリデーションシート

図の上段

どのくらい伸びたら成功か?失敗、撤退の定義

どのくらいの伸びしろを狙った初期アイデアなのかを定義することで、検証にかけるコスト(リアルオプションの実験にいくらかけていいか)を理解する。

図の下段

このビジネスがうまくいくと本人は思っているが、うまくいくための前提が無数にある。

・検証したい仮説リスキエスト アサンプション(riskiest assumption)と言われるもので、めっちゃ大事で崩れたら困る前提のこと。「この前提崩れたら、全部成立せーへんやんかー」というやつ。まずは1つだけ調べる!

・検証方法:riskiest assumptionを検証する方法。白黒はっきりする選択肢 2択を作る。

例)A:めちゃめちゃほしい、今すぐほしい B:多分いらんなぁ
とてもよい、よい、どちらとも言えない、あまりほしくない、絶対ほしくない、みたいな曖昧な5択は絶対に作るな!

・進捗、結果:実験結果を『盛らずにそのまま』記入

実験例)A 5人、B 33人。13%(5/38人)がほしいと言っている ➔脈あり(この時点で諦めるほどではない)
➔first riskiest assumptionがクリアできたなら、「次のsecond riskiest assumptionはなに?」と別の検証を考える。

事業規模によるから、事前に撤退ポイントを定めておかなくてもよい。完全な脈なしでなければ諦めない(事業規模が1兆円なら、欲しい人が3%でもチャレンジするかもしれないよね)。


アイデア一球入魂では「うまくいくはず」と思い込んで失敗する可能性高い。複数考えることが実験を純粋に実施・振り返ることができるので重要。大手の会社では1個のミッションしか渡されず、評価が下がらないように大々的な実験ができずに力がつかない構図ができているようだ。


● リーンダイアログ lean dialog

2つ目のツールですが、量が多いので詳細は次回触れますね。



本日はリーンスタートアップをお届けしました。難しい単語が並びましたが、『顧客で実験して仮説/検証を繰り返す』『小さな単位で細かくやる』ことが最重要です。それだけ抑えておけばだいじょうぶです(*´ω`*)

次回はリーンスタートアップとリーンマネジメント その2 リーンダイアログについてお伝えします!


興味がある方はぜひ一緒に仲間になりましょう!

細野真悟さんの情報はコチラ↓

https://peraichi.com/landing_pages/view/7flh5

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