02. Design Thinkingとデザイナー
Design Thinkingという言葉が台頭してきてしばらく経つ。世界的なデザインコンサルタンシーであるIDEOやスタンフォードのd.schoolから始まったプロセスもあれば、the British Design Councilなどから始まったとされるダブルダイアモンドモデルなども、Design Thinkingと見なされている。そして現在日本国内には、様々な派生版が日々誕生している。
共感や観察、プロタイピングなど似たり寄ったりのプロセスがあるもののDesign Thinkingの本質的な部分として存在することは、「現象を観察して、仮説立てて、検証すること、そして、それをゴールに向かって失敗と学びを生かし反復すること」をパッケージ化したフレームワークにあるのではないかと思っている。
現在のソフトウェアプロダクト・サービスクラフトのデザインにおいては、このDesign Thinkingを使い、ステークホルダーとともに、様々な可視化のツールを用いて実践・ファシリテートすることで、新しいビジネス・価値を創造する。個人的には、このビジネスの根幹とも言える「新たな価値の創出」にの場にデザイナーが重宝される理由は、どこかのワークショップで身につけた一流の付箋の貼り方などではなく、彼らの確かなデザインの基礎に基づいた「可視化の能力」だと思っている。
自分自身が元々Communication Designという視覚的情報伝達のデザインを学んできたからという偏見もあるかもしれないが、このデザイナーが持つ可視化の能力とDesign Thinkingの組み合わせこそ、Design Rationaleを成立させるために必要な要素であると考えている。
そして現在の世の中で普及し始めているDesign Thinkingで用いられている様々な手法は、Design Rationaleも含め、Design Methods Movementにルーツを持っている。
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On Design Rationale
00. Introduction
01. デザイナーとその役割の変遷
02. Design Thinkingとデザイナー
03. Design RationaleとDesign Methods Movement
04. Design RationaleとModel
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References:
Dubberly, Hugh.
Connecting Things: Broadening design to include systems, platforms, and productservice ecologies
濱口秀司
「デザイン思考」に騙されるな:一流企業がすがりつく「デザインファーム」の正体