THINK TWICE 20210307-20210313
3月7日(日) シャレですよ、シャレ
サウンドストリート以来、リスナー歴30年余にして、はじめて山下達郎さんのサンデーソングブックに投稿したところ、今日の放送分でいきなり読んでもらいました。当人はメッセージを出したことさえ忘れて、外出していたら、番組をオンタイムで聞いていた友人たちからLINEやTwitter、InstagramにもDMやらコメントやらが次々に届いて、その事実を知ったんですけど。まるで賞レースで決勝進出が決まった芸人のようでした(笑)。
投稿に至った経緯をおおまかに説明しますが───去年の夏、ぼくはジャッキー・ワード(ロビン・ワード)という女性歌手について、まとまった文章を書いて、このnoteに掲載しました。
で、その調査と研究の最中に、アメリカ在住のポップスマニアで、ジャッキー・ワード本人と交流のある方と繋がり、彼女がまだ存命であること、また、読む記事によって異なる彼女の生年など、正確な情報を知り得たので、それを達郎さんに伝えたいな、という気持ちになったんですね。
というのも、サンソンでは毎年、ひな祭りシーズンにはガール・グループ/ガール・シンガー特集を必ず編成します。特にフィル・スペクターやペリー・ボトキン・ジュニアがつい最近、相次いで亡くなったということもあり、きっとその手の縛りもあるのでは……と推理。メールで気軽に投稿できる期間もいつまで続くかわからないし *1 、もし出すなら今だな、とペンを走らせた(実際にはキーボードを打った)のです。
*1 サンソンは基本的にハガキでの投稿しか受付ないのですが、コロナ禍になり、郵便事業者への負担を少しでも軽減したいという意図から、昨年来、メールでの受付が解禁されています。その気軽さのせいで、毎週、番組宛に届くメッセージ数は激増しているようです。
毎週毎週、何年にもわたって投稿している人の手紙さえ、ぜんぜん読まれないことも知ってますし、番組で紹介してもらいたいという気持ちはそれほどプライオリティは高くなく(期待は失望の母である)、自分がたまたま知った情報を、この機会に達郎さんと共有したいという気持ちのほうが高かった、という点についてはしつこく言い訳させてほしいです(笑)。
ただ、ジャッキー・ワードについての情報は釈迦に説法───ということだったのでしょうか、読み上げられる際には大きく割愛されていて、噺の枕として、シャレのつもりで書いた「シャレですよ、シャレ」にまつわるエピソードだけがピックアップされたんですけど、達郎さんの目に触れたことはまちがいないわけで、全部ひっくるめて良い思い出になりました。
今回、達郎さんに選んでいただいた曲───The Joysの"I Still Love Him"は、もちろんペリー・ボトキン・ジュニアの編曲・プロデュース、作詞/作曲がジョニー・コールとジミー・クロス。ウォール・オブ・サウンドの聖地"Gold Star Studios"で録音され、1964年にVALIANTからリリースされました。
フランソワ・アルディも同年にフランス語でカヴァー(『Pourtant tu m'aimes』)してシングルをリリースし、元・ゴーゴーズのヴォーカル、ベリンダ・カーライルは、そのアルディのフランス語ヴァージョンを2007年にカヴァーしています。
さて、次に投稿するなら空耳アワーかな───って、もちろん、シャレですよ、シャレ(笑)。
3月10日(水) THINK TWICE RADIO
[PLAY LIST]
Chris Cohen - Physical Address
Bellows - Orange Juice
FKJ - Blessed
Tatsuhiko Asano - Lemonade
Papooz - Green Juice
Ben Varian - How To Make Coffee
The Sea and Cake - Tea and Cake (Remixed by Stereolab)
坂本慎太郎 - Wine Glass Woman
RICEWINE - Mornings
Benny Sings - Champagne People
番組のなかで触れたベン・ヴァリアンくんのMV"How To Make Coffee"がこちらです。再生回数に貢献してあげてください。
あと、いつものようにSpotifyのプレイリストも更新したのですが、Papooz「Green Juice」と、坂本慎太郎「WINE GLASS WOMAN」の2曲がSpotifyにありませんでした。あしからずご了承ください。
https://open.spotify.com/playlist/4H0IiOjreckJ18E9O4Gadj
3月11日(木) WE NEVER THINK TWICE
10年前の今日。
自宅マンションで地震に遭遇。古い漫画映画のようにふにゃふにゃと揺れるレコード棚を両手で押さえながら、生まれてはじめて「あ、死ぬかもしれないな」って考えていました。食器棚の上から大きめの時計が落下し、嵌め込みのガラスが割れたのが、唯一、被害らしい被害でした。
揺れが収まった頃、海岸からサイレンがけたたましく鳴りはじめ、そのうちヘリコプターの旋回音も聞こえてきました。津波の襲来を警戒し、低層階の住人たちがぼくが住んでいた4階まで次々と上がってきたので、熱いお茶をふるまいました。あの日は今日よりずっと寒かったんですよね。真っ赤なダウンジャケットと、スキーキャップをかぶった60代くらいのお母さんと、お母さんにとてもよく似た30代くらいの娘さんが身体を寄せ合いながら、顔面蒼白で震えていた様子が今でも目に浮かびます。
マンションの集合アンテナがズレたせいで、テレビがまったく映らず、それから数日はネットが唯一の情報源でした。東北の海岸線を襲ったあの津波も、千葉のコンビナート火災も、U-STREAM経由の不鮮明な映像で見たので、全然リアリティが沸かなかったな。
流言蜚語が飛び交うTwitter、スーパーマーケットやコンビニでは食料や飲料水の買い占め。なんの教訓も反省も生かされないまま、昨年来のコロナ禍でも繰り返されました。
自然災害はもちろん怖いです。でも、ヒトの変容がいちばん怖いと心に刻んだ、10年前のきょう。その教訓は薄れるどころか、今もなお濃くなる一方です。
ちなみに、あの日体験した震度を「5強」とぼくは記憶していて、誰かに話すときもそう説明しました。でも、最新のデータによれば、当時住んでいた神奈川県藤沢市は現在の記録によれば震度4だったそうです。なんだか狐につままれたというか、パンダに尻を噛まれたような気分だな。震度4。あの揺れが。あの、死の実感を伴うような揺れが。震度4だったのか。そうかあ……。
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