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もう一人の自分、あるいはロマンティック・アイロニー

夢に溺れる

夢を見る人がいなかったら、そんな世界は単調でつまらないことだろう。実現不可能にも思える夢が実現することで、世界は驚きに満ちた、素晴らしいものになる。
 ところで、夢は叶わないかもしれないから、夢なのである。確実に叶えられるならば、それは夢でもなんでもない。
 夢を叶えたいのなら、夢に溺れてはならない。夢を見ている自分に酔ってはいけない。努力していることや、夢があることだけで満足する人もいるのだが、満足してしまったら夢を叶えるのは難しい。
 僕も書きかけの本を何冊か抱えている。だが、アイデアが浮かんだだけで満足していたら、本は永遠に完成しない。
 書き終えるためには、自分で自分を鞭打つことになる。

夢が夢である以上、その実現は簡単ではない。だから、成功を信じてくれる人は、いつも少ない。夢を抱いた人は孤独だ。
 自分ひとりで達成できる夢ならば、自分を信じるだけですむが、他人の気持ちを動かすことや運命が必要な場合は、失敗の不安が付きまとってくる。そんな時に僕は、「もう一人の自分」を自分の中に作り出すことにしている。

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