年寄りの冷や水 「もう年寄りなんだから身の程を知れ」と、若い人に面と向かって言われたことがある。還暦になったわけでもないのに、そんなことを言われるとは思わなかった。ショックだった。 それから3年もの間、年相応の生き方を考えたのだが、結局、若者と同じように生きたらいいとしか思えない。自分の人生なのだから、自分で美しいと思う生き方をしたらいい。人生100年時代、折り返し地点で進路を変えても十分に時間はある。 別の若者には「カーネル・サンダースは65歳で起業したんだよ」と励
運命を愛してみる 技術を身につけたり、何かを生み出したりということは、コツコツと努力したらできるが、世の中で成功するのは努力だけでは難しい。勝負ごとには必ず負ける者がいる。オリンピックで金メダルを取れるのは、一人だけだ。勝負は時の運という言葉があるように、人智を超えた運命が味方してくれないと成功はできない。 だから、人は不運を嘆いたり、開運を祈ったりする。ところが、そんな迷いのはるか高みに立とうと誘ったのが、19世紀ドイツの哲学者ニーチェだ。 ニーチェは自らの運命を愛し
取り戻せぬ過去 新海誠の映画『すずめの戸締まり』は『君の名は』や『天気の子』といったこの監督の過去の作品のテーマを反復しているが、大きな違いがある。『君の名は』や『天気の子』は生者の危機を救う物語だったが、『すずめの戸締まり』は死者をとむらう作品なのだ。『すずめの戸締まり』の後半で再現される震災はすでに起きてしまった過去の出来事であるがゆえに、すずめや草太という特別な力を用いることのできる主人公たちであっても、時を巻き戻すことはできない。死者を甦らせることはできない。生き
欲しいものを手に入れるには アメリカの作家ポール・オースターは長編小説『ムーンパレス』で、望んでいるものは叶わないという法則を語っている。 ホームレスになった主人公が公園で生活していると、いろいろな人たちが親切にしてくれる。お金をくれたり、食事を分けてくれたり、ソフトボールに誘ってくれたりするのだ。 やがて主人公は「欲しいものを手に入れるには、それを欲しがってはならない」という法則を発見する。
夢に溺れる 夢を見る人がいなかったら、そんな世界は単調でつまらないことだろう。実現不可能にも思える夢が実現することで、世界は驚きに満ちた、素晴らしいものになる。 ところで、夢は叶わないかもしれないから、夢なのである。確実に叶えられるならば、それは夢でもなんでもない。 夢を叶えたいのなら、夢に溺れてはならない。夢を見ている自分に酔ってはいけない。努力していることや、夢があることだけで満足する人もいるのだが、満足してしまったら夢を叶えるのは難しい。 僕も書きかけの本を何冊
やればできる 「やればできる」をテーマにnoteを書いて行こうと思う。 誰かのために語れることって何だろう、と思って人生を振り返ったら、「やればできる」というテーマしかなかった。 できそうもないことに、いろいろチャレンジしてきた。うまくいくことばかりじゃなかったが、うまくいったこともあった。きらいな食べ物を克服するみたいな人生だった。 自分らしく生きることを大切にしていたから、人に影響を与えるなんてことはなかった。教壇に立ってはいるが、教師としては失格だろう。でも、こ