記事一覧
第8回 ドヴォルジャーク チェロ協奏曲第1番
チェコ音楽のレコード紹介Vol.8はドヴォルジャークのチェロ協奏曲第1番を取り上げたいと思います。第1番ってチェロ協奏曲は1曲だけなのでは、と思われる方も多いと思います。数あるチェロ協奏曲の中でも代表格であるロ短調作品104以外に、実は若い頃にイ長調のチェロ協奏曲を書いているのです。1865年ですから若干24歳のころで、仮劇場でヴィオラを弾いていたころに同僚のチェリストであるペールのために書いたも
もっとみる第7回 J.A.ベンダ ハープシコード協奏曲
チェコ音楽のレコード紹介Vol.7はイジー・アントニーン・ベンダのハープシコード協奏曲です。先日榊原先生から「加藤さんのレコード紹介評判いいわよ」っておだてられたものですから。調子に乗っている今日この頃です。
“ボヘミアン”という言葉があります。直訳するとボヘミア(チェコ)人ということになるのでしょうが、プッチーニの歌劇に「ラ・ボエーム」がありますが、これは“ボヘミアン”という意味です。とはいえご
第6回 ヤナーチェク 歌劇「死者の家から」
チェコ音楽のレコード紹介Vol.6はヤナーチェクの歌劇「死者の家から」を取り上げます。レコードは1964年録音のグレゴール指揮のものと、1979年録音のノイマン指揮によるものとが手元にあります。ヤナーチェク最後のオペラ作品。ドストエフスキーの「死の家の記録」を元に作曲者自身の台本。
ヤナーチェクを語る上でオペラは欠かせません。多くの人は最初に室内楽作品やピアノ曲、あるいはシンフォニエッタのような管
第5回 スーク ピアノ四重奏曲・弦楽四重奏曲
チェコ音楽のレコード紹介Vol.5はスーク(スク)のピアノ四重奏曲Op.1と弦楽四重奏曲Op.11。スーク弦楽四重奏団とピアノはパヴェル・シュテパーンの演奏。チェコ・スプラフォン盤で1981発売(録音は1979年)。
作曲家ヨセフ・スーク(チェコ読みではスクなのだと思うが、ここは一般的な読みで記述します)は1874年生まれなので今年は生誕150年の記念年に当たる。スメタナが生誕200年で目立つのだ
第4回 ドヴォルジャーク 「白山の後継者たち」
チェコ音楽のレコード紹介。ご無沙汰しておりました。今回はドヴォルジャークの比較的珍しい声楽曲のレコードです。1982年録音「テ・デウム」「詩編第149番」と讃歌「白山(ビーラー・ホラ)の後継者たち」が収録されています。ノイマン指揮チェコフィルほか。
なんといっても「ビーラー・ホラの後継者たち」が珍しい。ドヴォルジャークの生涯を知る人はこの作品が彼の若い頃の出世作で、この作品の成功を機に大作曲家への
第1回 ドヴォルジャーク 歌劇「ルサルカ」
みなさまこんにちわ。エンモ・コンサーツを主宰しております加藤と申します。今夏は「チェコ音楽の祭典」木之本公演でお世話になりました。
最近になってアナログ・レコードが見直される風潮がございますが、私も還暦を過ぎレコードに回帰するようになりました。ここでチェコ音楽のレコードを紹介していくお役目を拝しまして、拙筆ながら努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、第1回目はドヴォル
春の祭典~和洋3つの弦~を聴いて
3月17日に名古屋の宗次ホールで「春の祭典~和洋3つの弦~」というランチタイムコンサートを聴いた。とても新しい可能性があるトリオに感じたので少し感じたことを書き留めておきたい。
3つの弦とは、箏、ヴァイオリン、チェロ、の邦楽洋楽の混成トリオになる。室内楽に最適なホールを運営する立場で、同規模の宗次ホールの企画は常にブックマークしているが、今回は更に邦楽が絡むということで注目した。というのも私どもの
堀内響子ヴァイオリン・リサイタルを終えて
2021年12月18日木之本スティックホールで堀内響子ヴァイオリンリサイタルを開催しました。
堀内響子さんと初めてお会いしたのは丁度2年前の2019年12月24日だった。その年の11月に中川能舞台でトリオ・ホレミーロというユニットで演奏されていた。その公演には行けなかったが堀内さんが長浜のご出身と知り、コンタクトを取った。宝塚歌劇オーケストラにおられるとのことで、ヅカファンとしての興味もあってい
長浜市地福寺町の中川能舞台でピアノ連弾の収録があるというのでお邪魔させていただいた。国指定の文化財に登録された趣ある空間。演奏に力がこもると舞台が揺れる。
オーナーがこの貴重な舞台を活用してほしいと貸し出されている。建物を生かすも殺すも、使い方をしっかり考えねばならない。
セントラル愛知弦楽アンサンブル公演を終えて
昨日、私の勤めるホールでセントラル愛知交響楽団弦楽アンサンブル公演を開催しました。この公演は市の芸術文化創造協議会に企画を上程し、予算をもらった上で開催できたもので、去年に続き2回目になる。去年は館の30周年を記念してということで企画したが、そもそもプロのオーケストラの公演を行うのは、年に数回は本物の芸術というか、高品質の芸術の鑑賞機会を設けて、地域の方々に実体験をしていただきたいと考えたからだ。
もっとみるレコード針を日本製のものに変え、ターンテーブルシートを新調。格段に音が良くなった。恐るべしメイド・イン・ジャパン。
今日は蓄音器を聴きに愛好家の方のお宅をお邪魔しました。まだ電気録音をしていない時期の録音に、当時ラッパの前で演奏していた風景を思い浮かべて、イマジネーションがどんどん広がる。摩擦音の向こうに、ひとつの音楽の本質が見える。110年前の音楽家が眼前に現れるような、魔法の箱のようだ。
トリオアイリス演奏会を終えて
昨年のベートーヴェン・チェロ作品演奏をきっかけにトリオアイリスで木之本で演奏会をしたいとお話をいただいたのは今年の4月になる。エンモ・コンサーツの発足資料を作成している時だった。12月にいずみホールでコンサートされることを知っていたので、大舞台の前にどこか実践的な演習がしたいのだと察知した。とはいえ、こんな田舎の古ぼけたホールを選んでいただいて嬉しかった。
もともとはピアニストの大西真衣さんに着