ジグソー法②
ジグソー法ってリーディングじゃなくてもおもしろいはず、ということでジグソーリスニングのご紹介。
1 目的
主目的はジグソー法の記事https://note.com/akira_yashiro/n/n2e95d74ee699で述べた通り、関連した他の情報にも触れさせること。この学年ではその後Timed Writing(時間制限ありで勢いよく書く英作文)も実施しました。そのための情報収集がもう一つの目的です。
2 ジグソー法とは
こちらもジグソー法の記事(https://note.com/akira_yashiro/n/n2e95d74ee699)で述べました。リーディングの場合、教室の4隅に掲示したり、4つの文章を生徒に配布しますが、今回のジグソーリスニングは日本人教師(=私)とALTが教室の前後でスピーカー代わりになりました。
3 準備
今回は高校1年生の授業で、ALTとの共同作業ということもあり、話す内容はALTにも1つ考えてもらいました。リスニング用の記事2つとリーディング用の記事1つの合計3つを探したり作ったりします。例えば、教科書で新しい農業としての垂直農法が挙げられていたら、①昆虫食、②人工肉、③フードロスなど食に関する内容で180~200語程度の文章を3つ用意しました。
4 実践
授業では3人一組(A,B,Cとします)を作ります。Aの人は教室前方でALTの話を聞き、Bの人は自席で文章を読み、Cの人は教室後方で私の話を聞き、それぞれの概要をメモします。ALTと私は2回同じ文章を読み上げました。【個人学習①】
その後同じ話を読み・聞きした生徒同士で情報交換をし、自分の理解に不足がないか確認します。【エキスパート】
そして3人一組に戻り、お互いの情報を30秒程度の短い時間で発表します。【ジグソー活動】
なるほどー、となったところでまだ聞いてない話、読んでない話にそれぞれ取り組みます。【個人学習②】
全員がすべての情報を自力で理解したところで、英作文のお題が提示されます。(例:食糧不足を解決する最良の手段は?)この質問に対して、これまで得た情報(垂直農法、昆虫食、人工肉、フードロス)や自分の知識を使って、自分なりの考えを英語で書くことが今回の授業のゴール。
前段階として、3人組で日本語で意見を出し合います。ここで一致しなくても構いません。思いつかない生徒は他者の意見を書いてもいい、という措置をとっていました。(もちろん、そんな簡単に食糧不足の解決策が思いつくわけはないのですが、高1ということもあり、パラグラフライティングのための練習ということでご容赦ください。)
初回の授業ではなかなか筆が動きませんが、段落構成のパターンも教えつつ3~4回もやると5分で50語くらい書ける生徒も出始めました。生徒が書いている間、教師2人はぐるぐる回ります。モデルになるような展開や表現ができている生徒を見つけるためです。40人いれば1~2人くらいは見つかりました。もちろん制限時間があるのでエラーを含んだ英文ですが、そこは教師が訂正しながら全体で共有すればOK。
5 効果と限界
1対40だとALTの話もどこか他人行儀に聞いてしまう生徒も、自分が情報を持ち帰る責任があるため、かなり真剣に聞いていました。1つの話が200語程度で2分もせずに終わるため集中力も途切れなかったようです。
3グループ(A,B,C)に同じ内容・表現を伝える公平性を担保した結果、私もALTも基本的には同じ文章を読み上げるだけになってしまい、自由なコミュニケーションからは少し離れていたように感じます。一部の生徒はこちらの話が終わった後に英語で質問してきたので、その場合はやり取りが生まれ、周囲の生徒も聞き耳を立てているような様子でした。
6 まとめ
ジグソー法はリーディングでもリスニングでも十分できました。この実践はコロナ前でしたが、今だったらALTに全部の原稿を読み上げてもらった音声や動画をタブレットやドライブ上で視聴する形もとれるな、と思っています。ALTが常駐ではない学校もこのような形式をとれば、ALTがいない授業で彼・彼女の話を聞き、ALTが来たときにその話にまつわる質問をするなどの活動もできそうだな、と思います。