恋の俳句
ほぼ毎日使っているきごさい歳時記の恋の俳句大賞。
まさか採られてると思わず入選してたことに今日気づきました🤣
趙先生ありがとうございます!
趙栄順 選
曼殊沙華悪い男と判りつつ
※他の投句
一度だけ名前呼ばれたレモン水
半袖はダサくないってかき氷
この指に秋あかね来る初逢瀬
霜焼の耳にくちびる熱きかな
受賞句から好きな句をいくつか。
日焼けした腕と寝癖とあと全部 げばげば
ふたりはすでに寝癖を確認できる関係なんですね。あと全部って……全部、なんですよ。全部を知っちゃってますからね。体言止め、省略が良いのです。日焼けした腕も寝癖もあと何もかも君の全てが好きなんだあ! って作中主体は言ってるわけです。まさに今、恋愛の頂点で心が躍動している感じが出ているではありませんか。
恋をして体浮きたる柚湯かな 綾竹あんどれ
恋をするとふわぁ~っと身体が浮く感じ、わかります。「物思へば沢の蛍も我が身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る 和泉式部」ですから。身体から魂が出るのでふわぁ~ってなる。柚子湯につかりながら、あの人のことを考えてしまう。浮いているのは柚子ではなく自分。逆の視点がお見事です。
サルビアをくわえるごとき愛撫かな 箔塔落
サルビアは炎あるいは血が散ったような形状の花です。肉そのものにも見える。そのサルビアを咥えるごとき愛撫とはどんな……ええと、これ以上は書くのは野暮ですね、というか書けません笑。しかしまあ大胆な比喩、こんなんもってくる? っていう。だけど納得させられる言葉の力。
をさなくて恋の猫とも思はれず 趙栄順
身体が細く、小さくてまだ子猫だろうと思ってた雌猫。避妊手術を医者に頼んだら妊娠してますよと。それで出産まで待った。産まれたのは五匹でした。……という話を知り合いから聞いたことがあります。小さくても既に恋の猫だったのです。猫を人間の少女と読むとまた違った物語が立ち上がるようで、味わい深い。