「トゥモロー」は暗くて孤独で憂鬱な歌

歩道を歩いていたら、後ろから可愛い歌声。
「トゥモロー、トゥモロー♪」
ミュージカル「アニー」の曲だ。
振り返ったら女の子が歌いながら歩いていて、横をお母さんらしき女性が歩いていた。
この女の子は舞台で「アニー」を観たばかりなのかな。もしかしたらこの作品のオーディションを受けようとしているのかもしれない。
「トゥモロー」はなんて明るくて愛らしい曲なんだ、と思っていた、以前は。
たまたま数日前にYoutubeで「ブリテンズ・ゴット・タレント(BGT)という有名なオーディション番組がおすすめに上がってきた。
シドニー・クリスマスという印象的な名前の女性が「トゥモロー」を歌った。
審査員のサイモンは「トゥモロー」が嫌いだとかねてから公言していたらしい。それをあえて歌った。
シドニー・クリスマスが歌う「トゥモロー」は全く別物だった。
この歌は、明日はよくなるから希望を持とう、と歌っている。つまり歌っている現在は暗くて孤独で憂鬱なのだ。
シドニー・クリスマスの歌からはその暗さと憂鬱さが強く感じられた。
そもそもミュージカル「アニー」は世界大恐慌時代の孤児院の少女が主人公だそうだ。つらくて悲しいのが大前提。
シドニー・クリスマスはその重くて暗い気持ちをじわじわと押しのけて高らかに歌う。歌で戦ったのだ。
観客たちは大きな歓声と拍手で感動の気持ちを伝えた。サイモンは「トゥモロー」が好きになったと言った。


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