Akira Someya

編集やデザインをやってます。 埼玉県草加市のタウン誌「草生人」を夫婦で作ってましたが、今休刊してます。 PIGGSやももいろクローバーZが大好きで熱く聴いています。 子供たちに混じって和太鼓やってます。 ブログ:https://jitsuni.hatenablog.com/

Akira Someya

編集やデザインをやってます。 埼玉県草加市のタウン誌「草生人」を夫婦で作ってましたが、今休刊してます。 PIGGSやももいろクローバーZが大好きで熱く聴いています。 子供たちに混じって和太鼓やってます。 ブログ:https://jitsuni.hatenablog.com/

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何を撮るのが好き?

 先日娘と散歩をした。娘はいつもどおり自分のカメラを持ち歩いていた。  途中で雲を撮り始めた。雲は娘の定番の撮影対象だ。いろいろな形の雲があり、形が変わるから撮り続けるとなかなか終わらない。 「変わるものが好きなんだと思う」 と娘は言った。  公園できれいな小さい鳥を見つけた。ちゅんちゅん跳び歩くのを追って撮影。そして待機。飛び立つ瞬間を押さえる。 「何かが動き出す瞬間も好き」  新しい道を発見した。細い裏道。両側がびっしり住宅で、庭や室内を露骨に覗かないように気をつけながら

    • 「魚だ」と男は答えた

      ジョギングして作業服販売店の前を通りかかった。安くて機能的なので、作業服は好きだ。立ち止まってちょっと品物を物色した。うろうろして店の左脇の奥まった場所に進入してみた。雑多な物が置いてあって生活感が感じられた。水槽があって小さい魚がたくさん泳いでいた。 「売り物じゃないよ!」と男の声が聞こえた。 店の通用口に年配の男が立っていた。 そりゃ魚は売り物じゃないだろう、作業服の店なんだから。要するにここはプライベートスペースなので出ていけということだ。 「すいません」と僕は水槽から

      • 「トゥモロー」は暗くて孤独で憂鬱な歌

        歩道を歩いていたら、後ろから可愛い歌声。 「トゥモロー、トゥモロー♪」 ミュージカル「アニー」の曲だ。 振り返ったら女の子が歌いながら歩いていて、横をお母さんらしき女性が歩いていた。 この女の子は舞台で「アニー」を観たばかりなのかな。もしかしたらこの作品のオーディションを受けようとしているのかもしれない。 「トゥモロー」はなんて明るくて愛らしい曲なんだ、と思っていた、以前は。 たまたま数日前にYoutubeで「ブリテンズ・ゴット・タレント(BGT)という有名なオーディション番

        • 『キリエのうた』のイッコを思うと悲しい。

          映画『キリエのうた』を映画館で2回観たが、そのときはキリエ(ルカ:アイナ・ジ・エンド)にぶちのめされた。 こないだBlu-ray Discで観たときはイッコ(広澤真緒里:広瀬すず)に入り込んだ。 映画を監督した岩井俊二による原作小説『キリエのうた』を読んだら、真緒里がイッコ(一条逸子)になった物語の空白部分が埋められていた。 真緒里は帯広から東京に出てきて通うはずだった大学を休学しているときに、越智柚子子(おちゆずこ)に出会う。というか見初められる。 柚子子は男たちと交流・交

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        何を撮るのが好き?

          臨機応変なオレオレ詐欺師

          詐欺師「もしもし、オレだけど」 受けた人「あらボク ? どうしたの?」 詐欺師「うんボクだよ。あのね……」 受けた人「さてはおぬしか!」 詐欺師「あ……、ああ、ワシじゃ!」 受けた人「ああ、あなたなのね ! 生きていたのね!」 詐欺師「生きていたよ!」 受けた人「僕らはみんな♪」 詐欺師「生きている♪」

          臨機応変なオレオレ詐欺師

          やっぱり来年も使います

          昨日、近所の神社の境内で「どんと焼き」という正月の飾り類を燃やす行事があったので、うっかり2、3年ため込んでいた正月のしめ飾りとしめ縄を持ち込んで、燃やしてもらいました。 火を見ていると落ち着くので、しばらく見ていました。 女性が来て袋から何か出して受付台に置きました。鏡餅でした。 紺のはっぴを着た初老の係員が、これは受け付けませんと断ったので、女性は袋に戻しました。 彼女は次に小さいしめ飾りを出しました。 「これ、何年も使っているんですけど、燃やして買い直したほうがいいんで

          やっぱり来年も使います

          感じる必要のないやましさ

          喫茶店で友人と会話していたら、女性の店員さんがやってきて小声で「声がちょっと大きいので抑えてください」と言った。 確かにテーブルを挟んで向かいに座る友人は声が大きかった。 大声でサブカル系の貴重な裏話を語っていた。 彼は大学で講師をやっていて、教壇から学生たちに語っているので、講演のような声量で話す癖がついているのかもしれない。 あと、太っていてお腹が前にせり出しているため、椅子に座るときにのけぞる姿勢を取らざるを得ない。僕との距離が遠いため声を張ってしまう。 たしかに他の客

          感じる必要のないやましさ

          成長のバランスの調和について

          中学校の同窓会に行ってきた。11クラス合同なので、知らない顔ばかりだった。おじさんやおばさんがたくさんいる。名札を見て、ああ知ってるやつだと思って、改めて顔を見ると、おじさんの顔が中学時代の顔に変貌する。 一人の細身のイケメンが寄ってきた。 「someya君、ひさしぶり! 変わってないね」 僕は「?」という顔を返した。 名札は「鈴木英一」(仮名)と書いてあるが、記憶にない。 鈴木君(仮名)はこちらの反応をむしろ楽しんでいるように、 「俺だよ。小学校5年のときに転校してきて、

          成長のバランスの調和について

          バランス取ってるの

          駅前の広場に特設リングができていて、周りをびっしり人が囲んでいた。 DDTプロレスリングの駅前プロレスだ。 僕は群衆の真ん中付近に立っていた。目の前に男女のカップルがいて、女性はリュックを背負っていた。リュックはちょっと邪魔だなと思った。 男性が女性に話した。 「いつもリュック背負ってるね」 女性はこう答えた。 「バランス取ってるの。亀仙人的な」 それなら仕方ないな、と思った。

          バランス取ってるの

          落ちるなら落ちろと僕は唱えた

          夜遅い電車。 左隣に若い女性が座っていて、スマホで何か見ていた。僕も自分のスマホを見て、いろいろせわしなくどうでもいいことをチェックしていた。 しばらくして、左腕に軽い衝撃があった。隣の女性が居眠りして上体が揺れていたのだ。 ちらっと彼女を見たら、両手が膝に置いたバッグの上に落ちていて、両手はスマホを持っていなかった! スマホは手から離れて、バッグの端でとどまっていたのだ。 でも上体の揺れの影響でスマホは移動するだろう。落ちたらイヤだなと僕はハラハラした。 肩を叩いて「落ちそ

          落ちるなら落ちろと僕は唱えた

          時の過ぎ行くままに

          ビル街の歩道、向こうからスーツを着た女性が歩いてきた。 女性は片手の指に円形の時計をひょいと掛けていた。時計は壁に掛ける直径30センチぐらいのやつだ。 すれ違うときに、今が14時40分であることが確認できた。

          時の過ぎ行くままに

          その女性が走ったわけ

          駅ビルの1階から外の道路に通じる通路で、僕の前を女性が歩いていた。 女性は出口に向かって歩いていたが、3段ほどの下り階段で急加速し、走って外に出て行った。 元気だな、と思った。 続いて僕もその下り階段に到達した。 その階段は最初の段はちょっと高くて、次はちょっと低いという不規則な階段だった。 1歩目で勢いがついて2歩目で勢いが止まらず、3歩目には小走りになってしまうようにできている。 僕も自然に走って外に飛び出して、なんだか元気になったのだった。

          その女性が走ったわけ

          緑の丘公園に行って丘に登らず

          夕方、川沿いの遊歩道をトロトロジョギングしていたら、後ろから追いついてきた体が引き締まった精悍なランナーに話しかけられました。 「緑の丘公園に行くにはこの道を行けば大丈夫ですか?」 「たぶんこの道よりあっち道のほうが近いと思うけど、こっちの道でもそんな大差ないですよ」 あっちの道は車がビュンビュン走っている県道で、こっちの川沿いの道は景色もいいし車も来なくて安全です。2本の道はほぼ平行に伸びています。 「じゃあこっちの道を走ります。ありがとうございました」 と礼を言って、精悍

          緑の丘公園に行って丘に登らず

          母親からの電話

          急に思い出した 昔、30代のころ、勤め先の会社に電話がかかってきて、取ったら母親からだった。 社長さんに話がしたいというので、なんの用だと聞いたら、僕の結婚の相談だって。誰か女性を紹介してください、息子が結婚できないので心配です、って言いたいんだって。 「大丈夫! 今付き合っている人いるから」となだめて、電話を切った。 他の社員が電話取らなくてよかったとハラハラした。 でも今思い出すと、なんだか嬉しい思い出になっている。 もうすぐ七回忌だ。

          母親からの電話

          柿泥棒させていただきます

          家の近くで散歩していて、夕焼けがあまりにもすごいのでスマートフォンでカシャリ、とやったら、「すごい夕焼けですね」と背後の至近距離で声がしてビクッと振り返った。見知らぬ年配のおじさんがニコッとしていた。 「この家の柿をもらいに来たんですよ」と、おじさんは聞いてもいないのに勝手に喋りだした。 「ああ、橋本さんちの柿ですね」と僕は答えた。 とくに塀に囲われているわけでもない橋本さんの家の敷地に、柿の木が2本と蜜柑の木が1本生えていた。柿の木には柿の実がたくさん生っていたが、この時期

          柿泥棒させていただきます

          夜のバス

          夜、バス通りを歩いていたら、後方からバスに追い抜かれた。 バスは10メートルほど先で停車し、ドアを開けた。 そこにはバス停があった。 誰も降りず、誰も乗らなかった。 僕がたどり着くまでバスはそこにいた。 僕は乗車した。 乗客は僕だけだった。 なぜ僕がバスに乗ると思った(わかった)のだろう。