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遊び心を持ち込む難しさ
こんにちは、おーのAです。
今日は表題の通り「遊び心」について書いていきます。
「遊び心」について書こうと思ったきっかけ
無自覚な「遊び心」
先日、妻と話していて、妻からこんな話がありました。「ハラスメントとかあると、下品な話とかくだらない話しにくい」。確かにその通りだと思います。実際、妻の会社では飲み会の場であまり話さない上司が多いそうです。
ここまでの話は記事を書こうと思ったきっかけです。無自覚に周囲を不快な想いにさせてしまう。「遊び心」にはそんなパワーがあるという気付きを得られました。
この会話を受けて、無自覚に「遊び心」を持ち込むことに恐怖心を覚えました。
「遊び心」とメタスキル
こういった話を考えると、ハラスメントに限らず、「遊び心」を持ち込むことは一定難しさを感じます。
しかし、スクラムマスターのメタスキルやアジャイルリーダーのメタスキル、システムコーチのメタスキルには、「遊び心」が含まれています。
(メタスキルについては以下の記事で書いていますので、よろしければご参照ください。)
メタスキルは場のエネルギーを変えるために非常に有効です。
特に、「遊び心」はその場の緊張を解き、和んだ雰囲気を作るために有効なメタスキルだと思います。
では、「遊び心」を無闇に使って良いのでしょうか。ここから考えていきたいと思います。
「遊び心」がもたらす負の影響
私の場合、仕事の場においては、勢いで場に出してしまうことが多いのですが、パターンとして、以下があります。
同じ体験を持った人にしか分からない話、いわゆる内輪ネタ
自分の体験を面白おかしく語る、自分語りネタ
ある人の特徴を捉えて話題に上げる、いわゆるイジりネタ(内輪ネタとの組み合わせになるケースが多い)
内輪ネタの負の影響
1つ目の内輪ネタ。これは同じ体験を持っていないと分からないことが多く、全体に対して同じ影響を与えられるわけではありません。よく見かける例として、お笑い芸人がやっていると思います。「xxさん(人の名前)みたいないことを言うな!」とかですかね。テレビを見ていると結構こういった場面を見ることが多いし、xxさんは有名人なので、ワッと笑いが巻き起こります。しかし、xxさんのことを知らない人からすると、全く分からないのです。「遊び心」で内輪ネタを持ち込んだとしても理解できない人がいる、ということに自覚的にならなければなりません。
自分語りの負の影響
2つ目の自分語りネタ。いわゆるテレビ番組でいうと、「すべらない話」です。2パターンあると思っていて、1つ目のパターンは「自分」しかいないシーンの話。2つ目のパターンは「自分」と「誰か」がいるシーン。1つ目のパターンはあまり不快感を与えないような気もしますが、2つ目のパターンは、そこに「誰か」がいます。「誰か」の話をする上では、その「誰か」について面白おかしく語っていることもあるかと思います。聞いている人からすると、「誰か」が分からなくて、その人の知っている人を想像するかも知れませんし、あるいは本当に知っている人かも知れません。それによって不快に思う人も一定いるはずです。
必ずしも、自分語りだからと言って、悪い影響が無い訳ではありません。
イジりネタの負の影響
3つ目のイジりネタ。これもテレビでお笑い芸人がよくやっている光景のように思います。しかし、昨今ブサイクネタが嫌で芸人をやめる人(すみません、知らない人は検索してください)がいたように、このネタによって一定不快感を感じている人がいることは明らかです。
私としては、ハラスメント的にかなり黒に近いですから、最近は自覚的にやめるようにしています。一方で、学生の頃から持ち込むことが多かった「遊び心」であるため無意識的にやってしまうこともありそうで、ビクビクしてます。
メタスキル「遊び心」をどう使うか
このように負の影響を考えていくと、「遊び心」はとても危険な力を持っていることが分かります。では、メタスキルとして私たちは「遊び心」をどのように持ち込めば良いのでしょうか。
負の影響をゼロにするのは絶対に難しいことを理解しておく
「遊び心」のメタスキルだけを取り上げましたが、メタスキルは様々あります。例えば、スクラムマスターのメタスキルとして、「ティーチング」があります。このメタスキルを持ち込んだ時のことを考えてみましょう。「ティーチング」を持ち込むということは、相手に教育をすることです。何かを教えられる人は一定不快感を覚える人はいます。年輩の方だと若造に何かを教えられることに不快感を感じる人もいると思います。
このように「遊び心」に限らず、メタスキルは場のエネルギーの一部に負の影響を与えることを自覚する必要があります。
場のエネルギー全体を変化させるために負の影響をゼロにするということは不可能なのです。
マイノリティがいることに気づく
自覚的に場のエネルギーを変化させることは、システムコーチングやスクラムマスターにとって、とても重要なスキルです。一方、大事なことはマジョリティだけに目を向けてはいけません。
システムコーチングの研修でリーダー(教える側の人)は時々「違和感を持っている人がいることも分かっています」といった言葉を投げかける瞬間を何度か見かけました。これは、私がマイノリティ側にいる時に「あなたのこともしっかり見ていますよ」というメッセージと共に安心感を与えてくれるものでした。
場のエネルギーのマジョリティ側に入り込んでいると、自分自身が正しいような気がしてしまいます。しかし、そこには必ずマイノリティが存在していることを知っておく必要があり、そこに気づくことが大切なのです。
決して誰かを傷つけてはいけない
これは、もう語る必要はないと思いますが、誰かを傷つけるようなことはしてはなりません。しかし、時として「遊び心」は誰かを傷つけることがあることは気をつけなければなりません。
では、傷つけてはいけない、というのはどういうことでしょうか。
一つは「遊び心」を使うことに自覚的になること、もう一つは、マイノリティが存在していることに気づくこと、そして最後に、マイノリティをケアすることです。ケアするというは、マイノリティの不快感を感じ取った時に後でも良いから声をかけ、どういった意図を持って「遊び心」を持ち込んだのかを説明し、傷つけてしまったことを素直に謝ることだと思います。
「遊び心」を自覚的に使うこと、マイノリティの存在に気づけるようになることで、不快に感じた人、傷ついた人に気づくことができると思います。
もちろん、不快に感じる人や傷つく人がいない「遊び心」を持ち込むことが最も良い方法です。しかし、人はそれぞれの人生を歩んできて、それぞれの痛みを背負っています。何が不快に感じるか、何に傷つくかは分かりません。
例を挙げてみると「朝寝坊してパジャマのまま家出ちゃったんだ」という話をしたとしましょう。とても軽い笑い話ですが、本当に誰も傷つかないでしょうか。もしかすると聞いた人の中にパジャマのまま学校に行ってしまい、それ以降学校でイジメられた人がいるかも知れません。その人は本当に傷つかないでしょうか。
まとめ
「遊び心」を持ち込む難しさについて書いてみました。
改めて、悪ふざけやお調子者的な感覚で遊び心を使うことへの怖さを感じています。
システムコーチとして、組織のマネージャーとして、「遊び心」を使うことに自覚的になること、そして、マイノリティの存在に気づくことに意識を向け、場のエネルギーを作り出すための手段として持ち込んでいきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。