界のカケラ 〜64〜
「お姉ちゃんも寂しかった。最後に会ったのがあんな状態だったもんね」
「お姉ちゃんが真っ赤になって、動かなくなって・・・ 痛そうにしてて・・・」
「そうだったよね・・・」
「でもなんで死んじゃったの? あんなにいつも笑っていて楽しそうだったのに」
「え? それは・・・」
「お姉ちゃんが死んじゃってから寂しかった。涙がずっと出てた。会いたくて毎日お姉ちゃんのお家に行った。でもお母さんに止められて行けなくなっちゃったから会えなくなっちゃった。だからお墓に行ってた」
「そうだったの・・・」
「でもね、お姉ちゃんの家に行く人もお墓に行く人もどんどん少なくなって・・・ お姉ちゃんの友達も見なくなって・・・ お姉ちゃんのことを忘れていっちゃった・・・ 僕はそれが一番悲しかった!」
「・・・」
「なんでみんなお姉ちゃんのこと忘れちゃうの? あんなに仲良くしていた友達だったのに。おばさんやおじさんも。お墓に行ってもお花もなかったし、匂いがするやつもなかったし。なんで? なんで?」
「それは・・・」
「それでお姉ちゃんは良いの? 忘れられちゃうんだよ。死んじゃったから忘れられちゃうんだよ?」
「とお・・・」
「だったら・・・ 忘れちゃうんだったら・・・ 覚えようとしなくていい! 仲良くなんてしなくていい! いなくてもいい! 全部いらない! みんな嫌い! 全部嫌い!」
「徹くん!」
深鈴さんの大きな声に彼は体をビクッとさせ、固まったまま大人しくなった。
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