界のカケラ 〜100〜
カップがテーブルに当たる音だけが響き続けていた……
次にかける言葉がないわけではない。
かと言って気まずいというわけでもない。
私たちはテーブルに目を落としていた。特にテーブルに置いてある物を見ているわけではなく、お互い何かに共鳴しているかのようだった。
今、ここに流れている空気は哀悼に満ちていて、冷たいものと温かいものが意思を持ったかのように交互に繰り返し入れ替わっていた。
この流れに任せ、彼女の心にしっかりと寄り添おう。
私に今できることはそれしかないのだから。
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