違いの分からない男
note仲間のyamaneさんのシリーズもの
yamaneさんと3人の子供たちの
ベッドタイムストーリー
このシリーズがめちゃくちゃ面白い
今回は、ホラーのような
SFのような、世にも奇妙な物語
とっさによく考えつくなぁって
いつも感心しちゃう
さてさて
俺は、お菓子をあまり食べないので
まるで興味がない
時々食べるスナック菓子といえば
チップスター（これが1番好き）
ポテトチップスならダブルコンソメ
カッパえびせんは
食べても食べてもなくならないから
やめられない止まらない催眠に
かかった気持ちになって怖くなり
途中で捨ててしまうので
完食したためしがない
それとクッキーもどれを食べても一緒だ
見るにみかねたクッキー好きの友人が
わざわざ苫小牧市の東の端にある道の駅の
道路向かいにあるおしゃれカフェ
KANADEにクッキーを食べに行こうと誘ってきた
それがどうしたことだろう
誰が作っても一緒だと思ってたクッキーが
めちゃくちゃ美味くてたまげてしまった
今まで食べたクッキーはなんだったんだろうと
（俺はしっとり系が好みらしい）そう思った
この時はじめて、決めつけとは
愚かなことだと学んだ
さっそく
味の違いが分からない男から
味の違いが分かる男になるべく
生たまごの食べ比べをすることになる
市内で美味いとされる
平飼い生たまごを買いあさり
忘れもしない
1回目のロックダウンの翌々日
殻の色も違えば
黄身の色も比べると全然違う
これは期待できるかもしれない
俺ひとりでは答え合わせが出来ないので
とあるカフェのオーナー夫婦と
助産師とその客妊婦さん1人
計5人で検証してみた
ところが、結果は散々なもので
誰ひとりとしてハッキリしたものをつかめず
5人ともよくわからない
という歯切れの悪い結末だった
つまり、この5人は
安売りの生たまごだろうが
平飼いのストレスフリーな生たまごであろうが
違いが分からないのだ
あれから、美味しいたまごを買うことをやめた
そんな検証も記憶の藻屑となった4年後
性懲りも無く、旅先でついつい
美味しいと話題の平飼いたまごを買ってしまった
帰宅後、玉子焼きを作ろうと
そのたまごを割ってみると
なんということでしょう
4個のうち2個が双子という
なんだか分からない幸福感に包まれた
味が分かるわけではない
⚠️若鶏は双子を産みやすいんだって
そんな違いのわからない男でも
違いが分かることが稀にある
それは牛乳だ
そして俺のちっちゃいこだわりが形成される
牛乳は、四つ葉牛乳、なのだ
これほど違いが分かりやすいものはないので
この牛乳を味見をしてみれば
誰でも、違いの分かる男になれる
違いが分かる牛乳
さて、違いの分からない、といえば
三国志だったろうか
武将が悔しくて怒り狂って死んでしまう
という衝撃の死に方があったのを覚えている
憤死、というやつだ
あれを読みながら
感情が原因で死ぬことなんてあるのか？
と、ずっと疑問に思っていた
が
つい先日、てんかん性精神病をもつ患者の
リハビリ指示が出た
俺の経験上、初めての既往歴の持ち主だ
何でもこの患者はイライラすると
てんかん発作を起こすらしい
な、なんじゃそりゃ？
てんかん発作を説明すると
脳は情報の伝達を
脳波という電気信号で行っており
その電気信号が過剰に発せられてしまい
シャットダウン、意識消失するのがてんかんで
しかし、てんかん性精神病は
この脳波異常がないにも関わらず
硬直し、眼球上転し意識を失ってしまうという
ちなみに
てんかん発作はその兆候が分かりづらく
てんかん持ちはどこにいようと防御もできず
突然バタンと倒れるため
顔面を含む全身のケガが絶えない
この患者は、感情が引き金だと
分かっているのだから
その対処はしやすいのではないかと思われるが
そういう人に限って、常にイライラしているもので
すぐ意識消失してしまう
非常に危険なんじゃないのか？
リハビリなんかしていいのか？
と首を傾げてしまうが
本人は意欲満々だった
この患者をみていると
三国志の憤死が思い出される
憤死とまではいかないが
感情を引き金としててんかん発作と
同様の症状をひき起こせるのだから
もしかしたら、死だって可能かもしれない
と、ぼんやり考えてしまうからだ
おや？
この患者が首を垂らし
黙りこくったまま動かなくなってしまった
や"や"や"？
ちよとぉー！
俺が患者の体を揺らし
顔をグイッと持ち上げると
患者の目が開いていて
（てんかんに）なってないよ
と、ぼそっと言った
発作を起こしすぎて
意識の賦活が相当悪いらしい
普段の反応が悪すぎて
発作との区別が分からなすぎる（笑）
こ、この違い、、、俺には分からないぞ
怖ぇー
じゃーねー