ドラゴンズドグマ2 クリアレビュー 良いストレスと悪いストレス
何かと話題だったドラゴンズドグマ2をクリアしていろんな感情が溢れたのでレビューとして文字に起こしておくことにした。一部ネタバレがあるので未プレイの方は注意。
1. プレイ環境
PS5版
Ver.1.06〜1.07
2. プレイヤーのプロフィール
ドラゴンズドグマシリーズは完全に初見。
事前に把握していた情報としては「ポーンとの旅が楽しい」「ファストトラベルが限定的」「牛車が不便」「理不尽&不親切」「竜憑きはクソ」「ポーンを定期的に水没させれば竜憑きの予防になる」あたり。そのうちプレイしようとは思っていたので、攻略情報や実際のプレイ動画は極力避けた。
オープンワールド系ゲームはウィッチャー3、エルデンリング、ブレワイ、ティアキン、ポケモンSVを遊んだことがあるぐらい。あと、MMORPGだけど黒い砂漠。スカイリム等のベゼスダゲーは1個も遊んだことがない。
3. 大まかなプレイの記録
職変遷はファイター→ソーサラー→アーチャー(一瞬)→メイジ→魔剣士(一瞬)→マジックアーチャー→アリズン(ほぼマジックアーチャー構成)。
ファイターから始めたけど、近距離戦はガードとか掴みとか操作がいろいろあって難しそうだった。ポーンを前衛にしてソーサラーで後ろから魔法をぶっぱしてたら楽しかったので以後はほぼ後衛専門に。マジックアーチャーが最強すぎておもしろかった。
プレイはメインストーリー中心。寄り道的な探索はあまりせず。しかし、最初のエンディングを見た後に分岐への進み方が全くわからなかったので、ヒントを求めてあちこち探索することに。プレイ時間の半分近くはここでの探索だったと思う。
クエストで失敗したなって結果もそのまま受け入れた。詰んだことはなかったので宿屋セーブまで戻ったことは分岐前のエンディング以外ではなかった。
攻略情報はなるべく見ないようにしたが、魂魄の剣の使い方はマジでわからなくて調べた。
PSプラスに加入していないので完全オフライン。サブポーンはユーザー名CAPCONのやつがたくさんあった。メインポーンはたまに異界に行ってきた報告をしていたが、本当に異界に行っていたのか、行っていたならばどこに行っていたのかはよくわからない。
メインポーンを特別扱いしたかったので、サブポーンは愛着が湧く前に徹底的に入れ替えた。恐らくだが、オフライン&このプレイスタイルだったせいでクリアまでに一度も竜憑きが発生しなかった。
・クリア時点のプレイ時間:61時間45分13秒
・倒した敵の数:2971体
・死亡回数:32回
4. 各要素の評価
4.1 クエスト関係
クエスト進行の導線の不親切さと、雑なプレイに対して容赦なく後味の悪い結末を叩きつけてくるのが新鮮でおもしろかった。プレイを進めるにつれ、1つ1つのクエストに真剣に向き合うようになっていった。人の話はちゃんと聞いて、文字情報はよく読んで、よく考えて行動する。クエストログはあるけど指示は大抵曖昧で昨今のゲームと比べるとずいぶんわかりづらい。でも、その分だけ自分で考えて行動しなきゃいけなかったので、単に言われたとおりに作業をこなすだけの"おつかいゲー"から脱却できていて非常に楽しめた(すべてのクエストではないけども)。クエストの解決方法もゲーム側から明確には提示されない手順が用意されていて、贋作を渡したり、護衛に失敗して護衛対象が殺されても竜の鼓動でリカバリーできたり、牢獄の鍵を開けて衛兵と敵対しつつも無理やり連れ出せたりして、プレイヤーの発想を評価してくれた気持ちになって嬉しかった。
メインクエストにサブクエストで登場した人物が予期せぬところで絡んでくるところもおもしろかった。オープンワールド系のゲームを遊ぶ時に、ストーリーに入り込むと「メインストーリーが急場なのにサブクエストやってる場合じゃねえ!」ってなることがあるんだけど、ドラゴンズドグマ2ではサブクエストで気まぐれに助けた人が後々でメインクエストの進行を助けてくれた。なので、プレイヤーとしてだけじゃく、ゲーム内の主人公としても「情けは人のためならず」と感じてサブクエストに積極的に取り組む動機付けができた。特にヴェルンワースではこの傾向が強く感じられたので、序盤のうちにこの価値観が確立され、目の前のクエストがメインストーリーにどう関わってくるのかわからないからこそ真剣に向き合うし、積極的に解決してあげようっていう気持ちになれて楽しく遊べた。
少し残念だったのが、クエストの発生条件がわかりづらかったり、見落としやすかったりすること。攻略情報を見るに、時期を逃したら発生しなくなったりもするらしい。クリア後に調べたら全然知らんサブクエストがいくつもあってもったいない気持ちになった。ただ、クエストの発生場所が地図に全部表示されていたり、街行く人にクエストマーカーが表示されたりしているような、マーカーをぷちぷち潰していくおつかいゲーはもう嫌なのでこの点は良い解決方法がわからない。ドラゴンズドグマ2ぐらいぶっきらぼうな方が好きかなあ。
4.2 戦闘システム
前衛、後衛に役割が分かれていて「パーティで役割分担してバトルしてる感が味わえる1人用アクションゲーム」ってのはドラゴンズドグマ2独自の魅力なんじゃないだろうか。前衛、後衛でプレイスタイルがガラリと変わるから、飽きた時の味変要素にもなっている。まあ、自分は掴みかかるとか押し倒すとかの近接アクションがよくわかんなくてずっと遠距離職で遊んでたんだけど。メインポーンを前衛に置いて、自分は遠距離からチクチクして敵を殲滅するのが楽しかった。後衛職は不意打で敵に距離を詰められたら何の抵抗もできないもんだから、わちゃわちゃしながらポーンに助けを求めて逃げ回るのもある種の楽しみだったりした。ポーンはNPCなんだけれども、「一緒に戦ってる感」がここまで感じられるのはすごい。
ただ、ボス戦はあまり良い印象がない。1番の原因はバリエーションの少なさか。初めてグリフィンを倒した時は楽しかったし、その後にスムーズに仕留められるようになった時も楽しかった。でも、それはせいぜいプレイ時間で言うと10時間ぐらいまでなもんで、以降は同じようなボスしかいないからシンプルに飽きた。ヴェルンワースからバタルに移動した時に雑魚敵・ボス共に似たようなのばかりで変わり映えしなかったのが一番がっかりしたかも。ストーリーの盛り上がりどころになるような印象的なボスもいなかったし……。せっかくおもしろい戦闘システムを用意しているのに、それをぶつける敵が全然いないのはもったいなかった。
4.3 重量制限と素材収集
重量制限自体は特に気にならなかった。出発前に持ち物整理したり、出先で調合して重量削減したり、荷物整理自体を楽しめた。忘れられたリムストーンを見つけた時にサブポーンに不要品を持たせてから解雇して、新しいポーンを雇えば倉庫に全部持っていってくれるから探索は問題なく続けられたし、テイオウコガネを集めれば楽になっていくし。重量制限はプレイヤーの工夫、キャラクターの成長で対処できる余地が多いから良い塩梅のストレスだったと思う。
ただ、残念だったのは集めた素材のほとんどを使わなかったところ。特に武器の強化素材。何のために一生懸命荷物整理してたんだってクリアしてからふと思った。敵がそこまで強くないから武器強化の必要性を感じなかったし、店売りでどんどん装備が更新されるから強化してもすぐ使わなくなるのが嫌で強化をためらってしまった。結局、加護なき世界突入後に最後だしやっておくかって強化したぐらい。
そうなると結局、素材はただの重量の枷になっていただけ。ボスを倒して得られた素材も使い道がないとなるとボス戦へのやる気も半減。そもそも、強化に何がどんだけ必要かがわかりづらく、どの素材が価値あるものなのか旅先では判断がつかない(ある程度ポーンが教えてくれたりするけど)。これによって拾った時の嬉しさも半減。強化システムはもっとシンプルにすりゃよかったのに。次に続く探索の報酬の弱さにも関係してくる。
4.4 探索要素
探索の報酬がちょっと弱かった。ダンジョン探索等で拾えるアイテムは前述の使い道が少ない強化素材と汎用消費アイテムとたまに装備品や指輪。それも多くは店でも買えるもので、そのダンジョンに行ったからこそ手に入る、みたいな独自報酬はかなり限られていた印象。そんなもんなので、ダンジョンをわざわざ探してまで探索しようという気持ちはプレイが進むにつれて薄れていった。目に入ったダンジョンはとりあえず探索したけど……。
アイテムじゃなくて、せめて新しい敵がいるだけでも嬉しいんだけども。ふらっと探索してメドゥーサ見つけた時はテンション上がったし。
他には洞窟内に意味深なスポットがあるけど何も起こらず、クリア後に調べたらクエスト用のスポットだったりってのもあった。こんな感じで、クエストが関係していない自由な探索から得られるものがアイテムもストーリーも少なくてどんどん楽しくなくなっていった。
でも、これを解決できていたオープンワールド系のゲームは自分が遊んだ中だと暴力的な量のユニークな武器、防具、魔法を報酬に配置したエルデンリングだけなので、ドラゴンズドグマ2固有の問題ではなくほとんどのオープンワールド系ゲームが抱えている課題なのかもしれない(あるいは自分が勝手にそう思ってるだけ)。
4.5 ファストトラベル
ファストトラベルが不自由なのは中盤以降きつかった。例えば、序盤は行きと帰りで違う道を通ってみよう、という感じで楽しめていたが、ある程度マップを解放してからは前述の探索要素の弱さも相まって同じ道を何度も通る楽しみを見出せなかった。牛車の移動もファストトラベルができたら早くて嬉しいし、ボスと戦えると楽しいしでWIN-WINじゃんって最初は思えたけど、同じボスばかりで戦い飽きた&倒す旨みがないことに気づいてしまった中盤以降はWIN-LOSEだった。ファストトラベルがないならないで、移動を早く快適にするためのプレイヤー側でできる工夫とか、キャラクターの成長要素がほしかった。馬とか?プレイヤー側でできた工夫はせいぜい刹那の飛石を最大限有効に使えるように考えるぐらいかなあ。
4.6 ポーンとの絡み
メインポーンのストーリーへの絡みが全然なくて寂しかった。最後の最後だけ見せ場があって救われたけどそれ以外は期待外れ。ってか、自分が勝手に期待していただけかも。全体的に戦闘用の駒って感じでまさに「ポーン」だし、それがドラゴンズドグマ2の世界観としても納得はできる。せめて道中の会話にもっとバリエーションがほしかった。雑談してくれるのは楽しいんだけど、すぐに会話のパターンが尽きて同じような話を何度も聞かされて飽き飽きしたし、ゲームの世界の限界だよねって感じで冷めてしまった。
4.7 NPCの作り込み
街の住人達は好感度が上がってなければ大した反応してくれないってのはリアリティあるし理解できる。でも、例えば、街道で戦っているところを助太刀してから話しかけてると「なんだテメェ?」、街にモンスターの襲撃があって衛兵と一緒に戦って倒した後に「おかしな真似はするなよ」、牛車が襲撃でぶち壊された御者に話しかけても「悪いね、今は乗せられないんだ」っていう状況に即していない発言が出てくるのは残念だった。こういう突発的なランダムイベントがあって、イベント発生中はNPCの反応があって良い感じなのに、終わった途端に素に戻るNPCの反応は虚無すぎる。
あと、これは笑うしかなかったんだけど、メルヴェが兵士に封鎖された時に兵士をボコボコに殴る町人がいてシリアスな雰囲気をぶち壊しにしてた。ここまでぶっ飛んでたら笑えるからいいけども、しっかりしてくれよ〜とは思った。
5. まとめ
ドラゴンズドグマ2は唯一無二の魅力はあるけれども、余分な不親切さとシンプルに作り込みが足りないところがあってめっちゃおもしろいとしんどいが交互にやってくるゲームだった。
クエストの進め方がわかりづらい部分のストレスは楽しめたけど、移動の不自由さのストレスは心を無にするしかなかった。ゲームにおける良いストレスのかけ方と悪いストレスのかけ方って何なんだろうって考えさせられた。
なんやかんやで最後まで遊べたけど、評価が割れる理由もわかる。けれど、少々の不親切さだったり、自分に合わない要素は無視してで、おいしい部分だけ味わえば、みんなもっといろんなゲームを楽しめるんじゃないかなと思ったりした。自分の理想を完璧に叶えるゲームなんて人生でそうそう出会えるもんじゃない。
ドラゴンズドグマシリーズは20年ぐらい後にゲーム開発におけるAI技術がめちゃくちゃ進歩して、NPCとかポーンが生きてる人間かってぐらいのレスポンスをしてくれるようになったらまた遊びたいです。
おわり