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あんなに嫌だったのに父親に似てきた気がする

 父はよく本を読む人である。小さい時からそんな姿ばかり見ていた。私が生まれる前から,母と結婚する前から,社会人になる前からたくさん本を読んでいたようだ。テレビはあんまり見ていなかった。そんな父をつまらない人だと思っていたんだ。
 最近の父はよくテレビを見ているようだ。ドラマとかバラエティはあんまり見ないけど,クイズ系の番組はよく見ている。それから野球。だから,最近の芸能人でも多少わかるようになってきた。昔はほとんど知らなかったのに。
 一方最近の私はどうだろうか。20代後半から急に本をよく読むようになってきた。年間100冊を目標にタイトルが気になる本を片っ端から読んでいくようになった。移動時間は寝ているか本を読んでいることがほとんどとなった。本を読むために静かな場所を求めて出かけることや,本を読むために時間のかかる移動方法を選んだりしている。面白さに気がついたんだ。
 そして,今の私の家にはテレビがない。興味のある分野に関する芸能人はわかるけど,話題の人があまりわからない人になった。昔見ていた,そして少し軽蔑していた父親のような状態になったみたいだ。

 父はよく音楽を聞く人である。流行り物とかポップなものは聞かない。昔の洋楽やクラシック,ジャズなんかをよく聞いていたと思う。だから,母が好きなさだまさしなんかはあまり好きじゃなさそうだった。最近はどんな音楽を聞いているのよく知らない。イヤホンの発達で,スピーカーで聞く姿をあまり見なくなったのだ。
 私の音楽の趣味は幅広い。Spotifyのお気に入りの曲を見るとまとまりがない。「どんな音楽を聞くの?」と聞かれてもうまく答えられない。強いて言うなら聞いた時に鳥肌がたったもの。そういうものが私を形作っているみたいだ。そんな私の音楽の世界で,近頃クラシックの台頭が起こっている。きっかけは渋谷の名曲喫茶。古いものの中に新鮮さを感じ,心地よさを覚えたのだ。

 父の世界観はよくわかわない。知識の幅は広い。趣味も多様に見える。興味も多岐に渡っている。多様な偏見もある。一緒に暮らしていると嫌なところが見えてくる。
 離れて暮らして振り返ってみる。私の世界と父の世界。全然違うと思っていたけど,似てきてしまった気がする。良くも悪くも。悪いところは改めていきたい。

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