映画館という空間
ぼくの一番古い映画館の記憶。多分これが初めて訪れた映画館。祖父母の家から車で20分ほど,今はもうなくなってしまった映画館。シアターは1つだった気がする。父だったか,母だったかと妹,いとこと一緒に見にきた。劇場版ポケットモンスタールギア爆誕。
それからポケモンの映画は映画館でいくつか見た記憶がある。いずれも小学生の頃である。中学生になって1人で映画を見にいった。家から少し離れた映画館へ,自転車を漕ぐこと40分ほど。緊張しながらチケットを見せて劇場に入った。同年代はそこにはいなかった。
高校生の頃,再び1人で映画を見にいった。場所は新宿。どこの映画館だったかは覚えていない。もうなくなってしまったか,だいぶ様子が変わってしまったのだと思う。私の記憶と,現在存在する新宿の映画館の内装で一致することろがない。
大学生になって初めて家族以外の人と映画を見にいった。映画館に行くことは,デートになった。いつも隣には好きな人がいた。映画が終わると感想を言い合えるのはいいなと思った。
社会人になり,ほとんど1人で映画を見に行くようになった。たまには誰かと見に行くけれど,大概の場合1人だ。数日前から映画の時間をチェックして,ネットでチケットを予約する。劇場に着いてからチケットを購入することもある。1人で思いついて,適当に映画館に行って,適当な時間にやっている気になっていた映画を見ることもある。
映画に行くのはわくわくする。それがよく行く映画館でも。初めて行く映画館は緊張する。システムはそれほど変わらない。チケットを手に入れて,シアターに入る。指定の席に座って,映画を見る。最近では,大きな映画館のチケット販売は全て機械だ。他人と話す機会はほとんどない。チケットチェックで少し声をかけられるくらいだ。
小さな映画館は,チケットカウンターで人と話してチケットを買うことが多い。だからたまにしか行かない。日頃やっていないことは緊張してしまう。そこでうまく行かないと映画中でも考えてしまうことがあるのだ。それでも小さな映画館が嫌いなわけではない。小さな映画館ほど個性があって楽しいところはないと思っている。
昔から映画は特別な感じがする。だから没頭したい。金曜ロードショウなどで見る映画は没頭できない。映画館は本当に優れた施設だと思う。あんなにたくさんの席があり,時には満席になるのに,上手いこと映画と私の1対1にしてくれる。マナー悪い人がいると遮られるけど。
映画館でお席につくと,まず携帯電話をカバンにしまう。もちろん音の出ないようにして。マナーモード,全ての通知をオフ,機内モード,これら全てを設定する。そして,腕時計もはずしてカバンにしまっておく。予告編から楽しむのだ。