安全性に関する考え方

AKIRAです。
本日は一般向けのお話。


安全とは

皆さんは「安全」という言葉にどういうイメージを抱いていますでしょうか。
安全性研究、といったような言葉もあるように製品の安全性は様々なものに求められる要素であることは言うまでもありません。

ただ、「どこまでの安全が求められるか」といった視点で見ると、製品の目的によって安全のレベルが異なってきます
極端な例になってしまいますが、抗がん剤なんかはその典型例でしょう。がん治療には様々な方法がありますが進行性の場合、外科的な治療法では転移の可能性が高いため効果が薄いといわれます。
そうなったときに利用されるのが抗がん剤を用いた内科的療法ですが、非常に強い副作用があります。通常であれば選択肢としては忌避されるような方法ですが、それでもがんを治さなければならない状況の時、やむを得ず選択される方法です。
この例にもあるように、薬の副作用には「許容範囲」があることが普通です。抗がん剤の場合は、がんを治療することとその強い副作用がトレードオフになるということですね。

健康な人間に対して投与する「医薬品」

「風邪薬や頭痛薬でも死亡事故はある」

仰る通りです。しかし、風邪薬にしても頭痛薬にしても「症状を和らげること」を目的としており、服薬する現状は明らかに「健康でない状態」です。通常、風邪による症状のほとんどは体の免疫反応によるものであり、生体反応としては正常な反応です。それを抑えにかかる薬が風邪薬なわけですから、当たり前ですが人間の正常な生理学的な反応を阻害するものです。

この時点でヒトの体に何らかの不具合が出ることは自明の理。
むしろ出ない方がおかしいまであります。

風邪薬で風邪が治らないのは、あくまでも風邪を治すのがヒトの体の免疫であって、薬ではないから。だから、風邪薬にもそれなりの副作用があるのは当たり前の話です。

しかし、医薬品に指定されるものには、健常な、すなわち健康な人間に対して用いられるものも多いです。
ビタミン製剤などはその最たる例で、その安全性の保障のレベルは第一類医薬品(病院などで処方される薬)に比べはるかに高いレベルを要求されます。
理由は簡単で、ビタミン製剤は健康増進を目的としたものであって、治療目的に使うものではないからです。ですので間違ってもビタミン製剤摂取直後に何らかの症状が出てしまうようなことがあってはならないわけです。
しかし、普段それらの製品や開発品を専門的に扱う機会がない人間にとってはいまいち理解の及ばない話になってしまうため、その手の人間がこのスタンダード(安全性研究には扱う製品によってレベルがあるという話)を秘匿し、詐欺の手口にしてしまう恐れがあります。

技術が発達した時代だからこそ目を向けるべきお話です。

ワクチンに関する安全性

実は、免疫学の教科書にはワクチンの安全性に対する明確な指針がしっかりと記載されています。
免疫学の教科書は、様々なものがありますが、どの教科書にも書かれているポイントは大体、

「すべてのワクチン製剤における安全性は、副作用の出ないような安全レベルを担保しなければならない」

という風に書いているはずです。

これには明確な理由があります。言うまでもなくここまでの話そのまんまですね。
そう、接種する対象が健常者だからです。

例えば、これまでのワクチンで安全性をそれなりに主張できるタイプのものは、ウイルスの活性をなくした不活化ワクチン、有効な抗原部位だけをアジュバントで免疫応答を誘うコンポーネントワクチンくらいでしょうか。
生ワクチンはポリオによる毒性の回帰が過去の事故で確認されています。

また、不活化ワクチンに関してもHPV(ヒトパピローマウイルス)に関しては、無視できない安全上の懸念が指摘されています。場合によりけりですが、対象となる感染症の原因個体(ウイルス、もしくは細菌、原虫など)の生活環(ウイルスが細胞や組織に感染してから自分の体を複製して出ていくまで)をはっきりさせ、それらがどれだけの細胞毒性を示すのかを定量しない限りは、「感染症だから」という理由でよくわからないワクチンが量産されていく未来は容易に想像がつきます。
そもそもワクチンが必要な感染症なのか?ということですね。

接種する抗原が身体にとって高い毒性を示してしまうようなら、ワクチンとしてはお粗末である、と評価せざるを得ないでしょう。

当然、mRNAワクチンにも同様のことが求められる

当たり前ですが、ワクチンを謳うのなら、間違いなくmRNAワクチンにも同様の安全性レベルが求められてしかるべきです。
そして、その設計上、重要となるのはmRNAから作られる抗原がどこまでの発現量になるのか、その上限値を同定することです。

私の記事では何度も申し上げていることですが、mRNAからタンパクを合成する設計にしている以上、mRNAには制御配列が存在しないので、抗原たるスパイクタンパクの合成量を制限することができません。
そして、細胞一つだけに導入されるわけではないので、導入されたすべての細胞で際限のないスパイク合成が行われるわけです。

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