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科研費に採択されるための戦略的な申請書作成方法 はじめに

研究のアイデアをいかにして申請書に落とし込むか
研究の意義と研究計画の実現性を納得させるには?

プロローグ 
~彼を知り己を知れば百戦あやうからず:科研費採択の極意~

科研費の獲得は、研究予算という限られたパイを申請者同士で奪い合う「戦い」だと言えます。戦いに勝つための考え方としては、「彼を知り己を知れば、百戦あやうからず(知彼知己者 百戰不殆)」という孫子の中の言葉が有名です。この言葉を科研費に当てはめれば、彼を知り己を知れば、申請書を出すたびに必ず採択されるということになります。しかし、ここでの彼(=敵)とは誰のことでしょうか?また、己(=自分)とは?

 「彼」に当てはまるものはいくつかあります。一つめが、科研費の制度、特に、審査制度です。審査制度を知るには、「審査の手引き」というものを読むと、申請書を評価するときの評点の付け方が説明されています。二つ目が、審査委員です。どこの大学の何先生が審査していたのかは、2~3年後(審査委員の任期終了後)に公表されます。これを見ると、どの審査区分にどんな先生がいるのかの顔ぶれがわかります。彼らが、何を考えてどのように審査しているのかを知ることも大切です。3つめが、自分と同じ審査区分に出してくる他の研究者、つまり、ライバルです。どんな課題で採択されているのか?どの程度の論文業績を持っている人たちなのかを把握して、自分の研究や業績が遜色ないか確認する必要があります。そして4つめの彼が、他の申請書です。採択されるレベルの申請書はどんな内容で、どんな見栄えなのかを把握することが大事です。

さて、次に己(おのれ)を知ることについて。己とは何か?一つめは、自分の頭の中にある研究のアイデア。もうひとつの己が、自分が書いた申請書です。頭の中のアイデアと、自分が書いた申請書が一致していればいいのですが、アイデアを文章化することが実は非常に難しく、多くの申請書において、

自分の頭の中にある研究のアイデア ≠ 自分が書いた申請書

となってしまっています。これを改善するためには、とくにかく、誰かに読んでもらって指摘してもらうしかありません。自分が書いたものを人に読んでもらうときには、恥ずかしさや、申し訳なさなどいろいろな感情があるとは思いますが、信頼できる人に思い切って頼んでみることが大事です。

参考

◆2019年度科学研究費助成事業 基盤研究(B・C)(応募区分「一般」)、若手研究 審査の手引き(日本学術振興会)
◆日本学術振興会 審査委員名簿

いかがでしょうか?科研費で採択されるための極意は、これで言い尽くされたと思います。しかし、初めて申請書を書く人にはここまでの説明だけではわかりにくいでしょうから、これからもう少し具体的に説明していきます。

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