「不確実性の時代にアート思考をどう活かすか」を考えた
今参加している”Nサロン”のつながりで聞きにいったイベント。
今の立場が、アーティストとスポンサーやビジネスメイクする立場として向かい合うことが多いので、アーティストとしてのステートメントや、ビジネスサイド(相反するものではないからこう書きたくないけど便宜上)から見たアーティストと関わるメリットやデメリットもうまく言語化されていた。
1.アートとビジネスとは対局ではない
今アート思考が注目されているのは、
ロジカル思考→デザイン思考→アート思考
と思考の仕方のトレンドの寄る部分が非常に強いと思う。
だから、思考の最終形態が「アート思考が全て」ではない。
誤解してはいけないなあと改めて思ったのは、トークでも取り上げられていたけど、思考のトレンド変遷が進んでいるだけで、置かれている立場や事業のフェーズでマッチするかが分かれる。
自分たちの立ち位置や取り組む理由や未来を常に感じておく必要がある。
これは完全に主観だけど、広告会社や事業会社やベンチャー、公務員など多様な立場にいた経験からすると、一番わかりづらいけど、価値を生み出す可能性のあるジョーカーとしてアート思考が扱われている、あるいは期待されている点もあると思う。
ビジネスもアートも相反するものではない。
どちらも内包し、折り合わない部分もあるけど、支え合うと思っている。
ビジネスの座組みや形態、人のフォーメーションもアート(=唯一性の高いもの)だなと感じるタイミングや事例は多々あるから。
2.不確実な時代だからこそ、変わらないもの=内発的動機と抽象化が必要
・誰しもがアーティスト性があり、アーティストになる
市原さんの
「アートは自分がクライアント」「自分を生きるか」
という表現が秀逸だった。
上と関わるけど、ロジカルシンキングで捕まえたと思った、顕在化した課題や仮説すらも不確実な時代。
だからこそ、立脚する、アイデアや個性の起点となる、ブレないコトにこそ価値がある。
トークの中で出ていたキーワードは「why」「原体験」_
アート思考はより個別性や身体性を伴うもの。
アーティストや起業家の熱量が高いのは、こうした個別の体験が起点となっているから。
そして、ブレないものを見つけるに大切なものな視点として、記号化・抽象化する妙があると感じた。
アーティストの原体験や作品、熱量を保ったまま世の潮流と組み合わせスケールさせるときに、どんな人にも共有するインサイトや共感軸を抽象化して近づけることができるか。伊藤穰一さんの「コンパスが必要」というインタビューを思い出した。
3.課題を解くのではなく、答えに出会うのが未来。
ビジネスとしてスケールさせる=アートを継続させるという視点からすると、着火点はアート思考でも、デザイン思考〜ロジカル思考と、当初の熱量をとらまえながら、数的に
問いに対する答えを探しながら、その問いを常に疑い続ける。
多分、扱う物事や構成員とかバイアスがたくさんあってこれという正攻法はないんだと思う。
ロジカルと、フィジカル、メンタルとして、アーティストのモチベーションがどこに向かっているのか、チームとして目的(スケール?プロトタイプ?ただの自己満なオナニー?)に向かうために、今自分たちがどの思考で考えるべきかの視点を動かして考える水先案内人的な存在が必要だと感じた。
市川さんも言ってたけど
「アーティストと企業による、ビジネスコンセプトづくりのワークショップはパッケージ化できるかも」
というのは、まさに近い事例で行なっているので、それを文字化しなきゃなと、思った。
その他パンチライン
「担当者ではアーティストは理解されない。
担当者では対応できない。
決定権者と近い立場で」
「アート思考は赤ん坊。
ロジカル思考は大人。」
いきなりビジネスの場にアーティストをアサインしても、駄々っ子な赤ちゃんにしか見られない。
アーティストだから見ている視界、体験をすくい取り、リスペクトを持って翻訳する立場の人が必要」
アートは問いで、デザインは答え。
アーティストは患者で、デザイナーは医師。
アートは毒で、デザインは薬。
(宇川直宏さん)
ここら辺は本当にハラオチ。
近くで見ていて、ロジックも費用対効果もあったものじゃないのに、熱量で口説き落とすアーティストの思考や視野。
アウトプットの圧倒的な存在感。
到底自分ではたどり着けるもののじゃないなーいつも思う。
アートかビジネスか。
どちらかだけでの論理では、新しい未来には出会えない。
個人的な体験に常にアンテナを立てながら、それを記号化しても薄まらないアイデアと情熱を常に掴み続ける。
振り返って今の自分の暮らしは、ローカルなコミュニティで顔の見える暮らしに身を置きながら、ビジネスやデジタルの世界で切った張ったをしつつ、フィジカルなものづくりで切ったり貼ったり(あんまりできてないけど)を続けている。
アートからロジカルを行き来する今の日々は、まさに旅のようであり、自分の生き方がいいグルーヴが生まれ出しているように感じた。
オフィシャルレポート