マーケティング本は実践に使えるのか?
私は大手メーカーの商品企画(新製品を考案し市場に送り出す)を10年以上担当しています。その間、多くのマーケティング関連の書籍や教科書を読んできましたし、いくつかを実践で使えないかと試しもしてきました。
私なりの結論として、”あまり使えない” という感触を持っていました。いくつか理由はありますが、例えばこんな感じでしょうか。
目の前の状況と、本で書かれている条件(市場、製品カテゴリ、顧客層)が異なる
本に書かれていない現実の問題が起きた時に対処できない。もしくは、対処する方法がわからない
本の手法を取ろうとすると、周囲から反発をくらう。”現実に目を向けろ、理想と現実は違う”、というベテラン社員(主に上司)の声が大きい
年末に大量にたまった書籍を整理していたら、積読していた本の中からお宝本を発見。何気なく読んでみたところ、今までの自分の愚かさを思い知ることとなりました。
「星野リゾートの教科書」
リゾナーレなどのリゾート運営をしている星野リゾート社長の経営手法について書かれています。星野社長が多くのマーケティング本や教科書を読み、書いているとおりにやってみる ことを信条に進めてきた具体的な事例が紹介されています。
個々のマーケティング本の詳しい説明はありませんが、星野社長がそれぞれの本からどのように考え、どう生かして、なぜ「教科書通り」に実際の経営にあたっているかが良くわかります。正直、ここまで徹底してやるその姿勢に感銘を覚えるのですが、やはり、他者(他社)との差別化においては、天才的なひらめきよりも、こうした徹底さが何より大切なのだと思いました。ある意味、その徹底さが天才的なのですが。
この本を読むと、その中で紹介されている多くのマーケ本を徹底的に読み込み、自分の力にしていきたくなります。三日坊主で終わらない徹底さが重要だと、自分自身に言い聞かせています。
最近の日経ビジネスでもこうした星野社長の経営手法が紹介されていました。これも併せて読むと、これからマーケ本を読む意識が変わると思います。