撮影現場

いまの女性誌の編集や取材現場を体験してみて


先日、アイドルの方に合気道の基本と護身の方法を教えるという仕事をしてきました。女性誌から、依頼があったのです。けっこうメジャーな雑誌だと思います。

私は合気道の教室をやっていますが、どうだろ。勝手に流派や団体名出していいだろうか。出さないでやるか、とちょっと考えました。そんなことをいっても、教室名に団体名が入っています。

https://www.aikidoshibuya.tokyo/

発売前なので詳しく書けませんが、写真を見れば形や動きでバッチリ流派のPRにもなってるし、結果として問題はありませんでした。団体の理事会で詳しく報告すると、とりあえずは歓迎一色でした。

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※追記 発売されたので追記します。女性誌ar(アール)で乃木坂46の堀未央奈さんの連載「おもてなし達人への道」で、合気道の指導をさせていただきました。6月号7月号と続けて掲載されます。

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自分自身の内面としては、この仕事を受けてみて、いまの雑誌の編集現場がどうなっているのか、何よりそこが知りたかったのです。

3月に会社を解散しました。お金を稼がなきゃいけないという理由はもちろんですが、それだけじゃなくて自分の仕事感覚は古すぎるのか? いやいやそんなわけないでしょ、と思いながら会社が赤字になったのは、間違っていた。つまりは世の中とズレてたってことです。

私が会社を解散する理由


10年以上前の、女性誌編集の経験とどうちがう?

女性誌の仕事をしていたことがあります。今回と似たようなテーマでした。

私がやっていたのは広告系の制作会社です。グラフィックやウェブ、のちにはSNSの運用が専門で、エディトリアル、特に取材のプロではありませんでした。そこで編集プロダクションに取材現場のしきりやライティング、撮影などを依頼していたのです。

日本で総合格闘技が注目されるきっかけは、アメリカでグレイシー柔術が格闘技界を席巻し、バーリトゥード(なんでもあり)が爆発的な人気を集めたことでしょう。その立役者は、なんといってもヒクソン・グレイシー、そしてホイス・グレイシーです。きっと、おっさんしか知らないネタですね(笑)

そのグレイシーが日本にもアカデミーをつくりました。そして、アカデミーに女性向けの護身術クラスを新設するというのです。その取材をするということになっていました。護身術クラスに関しての事前の情報はなにもありません。

編集プロダクションの女性のライター、女性のカメラマン、いわゆる読者モデル、そしてディレクション兼雑用係の私の4人で向う予定でした。ところが当日、ライターから連絡があってインフルエンザにかかって外出できないというのです。編プロで代わりのライターを用意するという申し出がありましたが、断りました。私がインタビューして、私が記事を書くことにしました。


大試合を目前にした練習直後のインタビュー

インタビューする相手は、ホイスです。当時、人気的にも全盛期です。アカデミーに到着して最初に責任者から「通訳が用意できませんでした」と告げられました。

あ、え、そうですか。や私、英語できませんから(笑)

取材は12月上旬。そして大晦日には恒例の格闘技の大会があります。もちろんメインイベントです。しばらくたって現れたホイスの裸の上半身からは、湯気が立ち上っています。闘気みたいなのも、ゆらゆらと。まるで野獣です。目を見ただけで、殺されそうです。

インタビュワーが私で幸いでした。女性だと耐えられなかったかもしれません。

しかもホイスに女性向けの護身術クラスの何を聞いても、「入会したら教えてやるよ」と言うのです。どういうシチュエーションの技を教えるんだ。チカンとかセクハラとか引ったくりとか、そういう日常的なものか。それとも生命の危険さえあるような場面の格闘術か。どういう稽古をするんだ、初心者が対象か、それとも武道・格闘技経験者じゃないと難しいかと聞いても、「入会したら教えてやるよ」でした。

こいつ、護身術クラスに関与してないだろ。まったくよ(笑)


ほぼ私が創作することになった記事

じゃあもういいよ。創作するからと。

リングではホイスの兄弟や従兄弟が、読者モデル相手に技をレクチャーしています。1時間という約束だったので、インタビューと平行して場面を設定して対処法をやっている写真を撮らせてくれと、私がお願いしていたのです。あとからでも写真を見れば、なにをやっているのか、私は分かるからと。

やっていたのは後ろから首を絞められたり、抱きかかえられたりというハードな設定です。さすがにグレーシーの人たちは、キレイに投げられたりしています。

が、しかし。こんなこと、かなり動ける柔道などの経験者の女性、しかも筋力と度胸が必要です。ブラジリアン柔術というよりも関節技を使った柔道です。やっていることまで創作するわけにはいきませんから、ヤバイ場面でも負けない格闘術が学べるという護身術クラスというトーンにしました。

それで見開き2ページ分の記事を書きました。写真をもらえば、あとはうちで完結できるのですが、ライターのところに原稿をメールで送りました。彼女が書いた文章として、違和感がないかをチェックしてもらうために。

編集プロダクション内では、彼女が書いたものとしか思えないという反応だったそうです。そう、私は文章でなら女性になれます(笑) 1年間以上彼女の書いたテキストをチェックし、書き直したりしてもらっていたので、発想や構成、文章のクセみたいなものは、理解していましたし、再現できるのです。


それほど差はないと感じた今回の取材

大きな違いはあったのですが、それはアイドルが主役だということ。マネジャー、編集者、スタイリスト、スタイリストアシ、ヘアメイク、カメラマン、カメラマンアシというチーム。それに私と、手伝ってもらった有段者がひとりですから、私の経験では雑誌とは思えない大人数の現場です。

先に書いた女性誌は、ファッション誌ではないのでヘアメイクもスタイリストもつきません。

今回の取材は2号分。乃木坂46 堀未央奈さんのスケジュールがなかなか出てこなくて、取材日が決まってから発売日を知ったのですが、驚いたのは最初の号の発売日まで40日を切っていました。進行が大丈夫かといえば大丈夫でしょうけど、所属事務所やグループサイドなど、チェックがいろいろありそうです。

1号目は合気道の基本編。私としては私のチェックができなかったり、修正に対応してもらえる時間がなくなってしまうと、ちょっと問題です。それに当日は2時間の拘束が決まっていましたが、ヘアメイクや着替えの時間を考えると、実質1時間半。1時間半でできる説明と理解。そして動いてもらうことを考えると、これぐらいの内容でこれぐらいの時間配分ですという当日のフローと用語、その説明を出しました。

問題なく受け入れてもらえました。用語や基本的な説明は、間違われてそのまま出てしまうと、私もそれなりに団体を背負っている以上困ったことになるので、文字をコピペできるようにしようと考えたのです。

全体的な印象としては、それほど変わらないと感じたのですが、どうでしょうか。

余談ですが、堀未央奈さんが素晴しかったです。正座法から護身まできっちり指導させていただきましたが、膝が、肘が、指がこういう位置でと言うだけで、すんなりできるんです。

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