手遅れかも?
私は、いわゆる就職氷河期世代だ。
バブル崩壊前は子供だったので好景気をよく知らず、バブル崩壊後は日に日に暗く影を持っていく大人たちの後ろ姿を見ていた。
中学生の頃、朝礼にて、全校生徒の前で校長先生が言った言葉を今でも覚えている。
「今は少し景気が悪いが、君たちが卒業する頃には、強い日本は好景気を取り戻しているだろう。」
この後、10年景気は下がり続けた。
それを知らない当時の私でもこの言葉に強い違和感を感じた。
その学校は窓ガラスが割れている市立中学だった。授業中に不良がウロウロするくらい荒れていた。(ヤンキー漫画みたいだった)
不良たちは、窓を割って賠償金を請求され、授業を受けないので内申点は下がり進学先の条件は悪くなる…と、なぜ自分の首を絞める事をするのか私は不思議に思った。
たぶん、彼らはこの時の不況で巻き返せない程に貧しくなったのだろう。
この社会では、彼らは上手く生きていけないと感じ、無意識に、自分に不利な社会を壊そうとしているんだ、と思った。
その不良たちの現実と、変化に気づかない校長の言葉とに、当時の私はギャップを感じたのだ。
氷河期世代は運が悪く、他の世代で言う"普通の就職"ができたのは、上澄みの人間だけだった。
その不良たちもきっと苦戦しただろう。
社会に育ててもらえなかったこの世代は今や中年だ。巻き返しはもう手遅れではないだろうか。
それは巡って、私の中学時代のように、社会問題として返ってくるのではないだろか。